声明・談話

【談話】重要土地調査規制法成立に抗議する

2021年月6月16日
社会民主党幹事長 服部良一

 

  1. 安全保障上重要とみなされる施設周辺の土地利用を規制するための重要土地調査規制法が、16日未明の参院本会議で可決・成立した。野党は恣意的運用や不当な私権制限のおそれがあるとして徹底審議を求め、参議院内閣委員長や議院運営委員長の解任決議を相次いで提出するなどして激しく抵抗したが、政府・与党は未明までかけて採決を強行し、成立させた。
  2. 衆参の委員会での審議は計26時間に過ぎず、規制や調査、罰則の対象など法案の根本に関わる多くの基準が明示されず、政府が答弁を避ける場面が続出した。疑問や懸念ばかりが浮かび上がるなかでの強引な採決であり、断じて許されない。
  3. この法律によって、「重要施設」の周囲約1キロや国境離島が注視区域に指定され、所有者の調査や妨害行為への中止勧告・命令が可能になる。特別注視区域に指定しされると一定面積以上の売買に事前届け出が義務付けられ、従わない場合は刑事罰も課される。
  4. また基地建設や機能強化に反対する市民の行動にこの法律が適用される懸念が強く、沖縄をはじめ基地周辺住民にさらなる負担を強いることになりかねない。市民の思想調査が行なわれ、事実上強制的な土地収用も可能となっている。憲法が保障する財産権、居住・移転の自由、表現の自由、思想・良心の自由、プライバシー権などが侵害されるおそれが強い。
  5. 政府は、何が重要施設に該当し、どのような行為が中止勧告・命令の対象になるのかなど国会審議で不明確さを指摘された面も含め制度の具体化に着手するが、市民の権利が不当に侵害することがないように慎重な制度設計と運用を求める。本法は指定された場所への立ち入りや撮影、測量を禁じた「要塞地帯法」の再来ともいわれる悪法であり、日本国憲法の理念とも、とうてい相いれないものだ。社民党として強く反対し、施行せずに直ちに廃止することを強く求める。

以上