2023年10月24日
第212臨時国会の開会にあたり(談話)
社会民主党幹事長 服部良一
10月20日第212回国会が招集され、12月13日までの55日間の臨時国会がスタートした。9月組閣後の最初の国会論戦となるわけだが、一昨日投開票の衆参補選では岸田政権へ厳しい審判が下された。岸田政権は自民党2議席の死守のために首相・山口公明党代表そろい踏みで高知・徳島入りするなど総力戦で臨んだが敗北となった。1勝1敗の結果だけでなく、高知・徳島の保守地盤の選挙区で大敗したこと、楽勝と見られていた長崎でも接戦に追い込まれたこと、無党派層が政権与党を見限っていることなどその中身も深刻だ。同時に行われた所沢市長選でも宮城県議選でも敗北した。とは言え年内解散が消えたとまでは言えない。今後とも岸田政権の解散戦略を注視すると同時に野党側も一本化すれば勝てる情勢が生まれている。社民党は市民と野党の共闘の推進力となって努力して行く。
10月23日岸田総理の所信表明演説があった。「経済」を三回連呼した演説のクライマックスは税収の増収分の「還元」セールアピールだった。だが22年度の決算剰余金2.6兆円は財政法により半分は国債償還が決まっており半分は防衛力強化財源に充てるのではないのか?岸田首相は20日には所得税減税検討を与党に指示したが、それを言うなら軍拡のための増税をまず撤回すべきである。与党では所得税の定額減税を検討するようだが、そもそも所得税を納めていない低所得者層には恩恵はない。賃上げのための減税措置もうたったが、中小企業の62%が赤字で法人税を払っていないため効果が少ないことは明らかだ。
岸田首相は「経済状況が改善」している、「変化の流れをつかむ」と自画自賛するが、本当に国民の生活実態が見えているのだろうか?「コストカット経済からの変化」と言うならば、格差貧困が拡大し大企業や富裕層ばかりが肥え太ってきた新自由主義政策、規制緩和、アベノミクスへの反省と脱却が必要であり、公共の復権、不公平税制や労働法制の強化見直しこそが必要である。
岸田首相は言う~「明日は今日より良くなる」と信じられる時代を実現する~と。暮らしが苦しい・やや苦しいと答える人が90%以上もいる中で実に空々しい限りだ。国民のくらしもわからない、地方の思いもくみ取れない、一貫性のない場当たり的な国民無視の所信表明であったと言わざるをえない。その一方で改憲については「先送りできない重要な課題」とし「条文案の具体化など、積極的な議論に期待する」と言明した。
改憲・軍拡を許さず、国会論戦でも街頭行動でも岸田政権を追い詰め、日本の政治の転換を実現しよう。イスラエルによるガザへの地上侵攻が迫っている。パレスチナと連帯し「ジェノサイドを止めろ!」の声を世界の民衆とともに上げて行こう。