(社会新報11月2日号3面より)
第212臨時国会が10月20日に召集された。23日に岸田首相の所信表明演説、翌24日からは演説に対する代表質問が行なわれた。
演説の前日には参院高知・徳島選挙区と衆院長崎4区の補欠選挙が投開票され、参院高知・徳島については野党系候補が大差で勝利し、衆院長崎4区は自民候補が僅差で勝利するという結果となった。
いずれの選挙区も保守地盤が強く、自民党が確保していた議席であっただけに、岸田政治に対する厳しい批判が吹き出た形となった。
臨時国会の演説で岸田首相は「経済」を3回連呼した。そして増えた税収の一部を一次的に国民に「還元」するとした。ちょっと待ってほしい。昨年末に政府は防衛力強化に必要な財源を捻出するために、防衛増税を決めたばかりだ。にもかかわらず補欠選挙投票日の直前に突然、減税を打ち出した。
一方で年末に向け防衛増税の実施時期や少子化対策の財源確保の議論も始まろうとしている。「減税」を言うのなら、軍拡のための増税を撤回すべきである。
補欠選挙での与党候補の敗北は有権者に「選挙目当ての政策」と見透かされた結果ともいえるのではないか。
岸田首相は「経済状況が改善」しているとした。この人に国民の生活実態が見えているのだろうか。
例えばひとり親家庭での子どもの貧困率は厚労省調べで50%前後となっている。その反映として子ども食堂は増え続け、発足から4年後の16年には全国319ヵ所だったが、それから6年後の22年には20倍以上の7363ヵ所にまで増えた(関係団体調べ)。昨今の物価高は子ども食堂の運営にも深刻な影響を与えているという。
こうした現状を変えるには、格差と貧困が拡大し、大企業や富裕層ばかりが肥え太ってきた新自由主義政策や規制緩和、アベノミクスへの反省とそこからの脱却が何より必要であり、公共の復権、不公平税制や労働法制の強化、見直しこそが求められている。
それを岸田政権に期待するのは不可能だ。社民党は国民生活を顧みず、憲法改悪・軍拡の道を突き進む岸田政権を国会論戦でも街頭行動でも追い詰め、日本の政治の転換を実現していく決意だ。
合わせてパレスチナの人々と連帯し、「ジェノサイド(皆殺し)を止めろ!」の声を上げていく。