社会新報

「女たちの会」シンポジウムで古賀茂明さんが講演~台湾有事に巻き込まれるな

古賀茂明さんは力強く語った(10月22日、専修大学神田キャンパス)。

左から、古賀さん、東村さん、田中さん、前田さん、望月さん。

 

(社会新報11月9日号3面より)

 

 「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」が主催する第2回シンポジウムが10月22日、東京・千代田区で行なわれた。会場には約200人が詰めかけ、オンラインでも700人以上が参加した。

緊急事態条項の危険

 初めに、元経産官僚で政治経済アナリストの古賀茂明さんが「日本は平和主義を捨てた」と題して講演。
 古賀さんは、日本が戦争準備を進めている状況について解説した上で、「いま最も注意しなければならないのは、緊急事態条項の加憲だ。これをやれば、内閣の権限で人々の権利制限など全てができるようになる」と警鐘を鳴らした。
 古賀さんは、有事に関することで「日本でさまざまなパラドックス(背理)が起きている」と指摘した。以前は政府・自民党の議員は「戦争を避けるため、国民を守るための抑止力」と言ったが、最近はそれだけでなく、「正義のための戦争」「価値観を守るための戦争」と理由付けの範囲を広げているという。

台湾有事に関わるな

 古賀さんは、日本で喧伝(けんでん)される「台湾有事論」について、次のように語った。
 「米国は中国の科学技術や軍事面での覇権拡大を止めるため、『中国は台湾で戦争を起こそうとしている』と言い立て、中国をつぶしにかかっている」と解説。
 古賀さんは台湾について、「7~8割の人は現状維持を望んでおり、独立しようなどと言っていない」と実情を語った。中国については、「台湾を武力で統合するのは最悪の選択。台湾が破壊され、人々から敵意を持たれるからだ。そんな場所で統治がうまくいくはずがない」と語った。
 しかし台湾有事の際、日米安保条約の下で日本は「戦わない」とは言えない、拒否すれば安保体制が崩れる、との意見もある。
 これについて古賀さんは、次のように語った。
 「米国の戦略国際問題研究所のシミュレーションによると、台湾有事において日本は要だという。戦争を起こすも起こさないも日本次第ということ。だから、日本は『参戦しない』と言い、中国には『台湾独立には賛成しないが、武力による現状変更には反対』と伝えるとともに、『尖閣を含む日本の領土に危険を及ぼさない限り、日本は中立だ』と宣言すればいい」

若者へのエール

 続いてパネルディスカッションが行なわれた。古賀さんに加え、法政大学前総長の田中優子さん、漫画家の東村アキコさん、医師の前田佳子さんが参加。司会は、東京新聞記者の望月衣塑子さんが務めた。
 田中さんは、「特に若者の中で、何をやっても変わらないという諦め感が広がっている。それを後押しするように、戦争の準備が進んでいる」と危機感を表明。
 東村さんは、「若者の多くは暴力的な漫画を浴びるようにして育った。そうした中で、社会でうまくいかない人たちは『こんな世の中、ぶっ壊れちゃえばいい』と破滅願望を抱いている」と指摘した。
 前田さんは、「国民の健康のためにおカネを使ってほしいのに、ミサイルなどに使われることに危機感を覚える。日本は戦争準備に力を入れるのではなく、戦争をしない準備をしてもらいたい」と力を込めた。
 古賀さんは、「若者はどうしたら良いのか?」と参加者の質問に対し、「まずは自身の生活を守ること。その上で、政権交代につながることをやってほしい」とアドバイスした。
 望月さんは「真の意味で女性が輝ければいいなと思う」と締めくくった。