(社会新報11月23日号3面より)
何ら過ちを認めようとはしない。政府が10月13日、統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令を東京地裁に請求したことを受けて、教団の田中富広会長らは11月7日、東京・松濤の教団本部で記者会見し、請求について「到底受け入れられない」と争う姿勢を表明した。
田中会長は信者2世らに「皆様に心からおわびする」と述べたが、「謝罪ではない」と理解しがたい釈明を行なった。
「献金は神聖な行為」「『被害者』という言葉は簡単に使わない」などと開き直った。
献金被害の背景を「信者の中に社会通念からみて行き過ぎた行動があった」「現場の伝道者による説明不足」と信者個人の責任に転嫁し、教団の組織的な関与を否定した。
会長は、裁判所が解散命令について判断するまでの期間、60億円から最高100億円を拠出して国に供託すると表明した。「現在は被害者、被害金額とも不明確」としつつ「特別措置として供託制度を用意いただければ当法人で準備する」と述べた。
教団が裁判所の判断の前に資産を海外などに移転させる恐れが指摘され、財産保全のための新たな立法の議論が始まっている。これについて同会長は、銀行から海外送金を制限されているなどとして「不安には及ばない。財産保全措置法の必要性は全くない」とけん制した。野党各党が提出した教団の資産を保全するための法整備を回避する狙いがあると言える。政府が把握する高額献金の被害規模は200億円を超え、全国統一教会被害対策弁護団も被害総額を約1200億円と推計する。最大100億円では到底足りない。
社民党の福島みずほ党首は8日の会見で、最大100億円を国に供託すると表明したことについて、「全くダメだ。被害実態が全て明らかにならなければ100億円で足りるかも分からない」と厳しく批判した上で、「財産保全の立法は必要だ」と強調した。そして「統一教会に対して解散命令が出なくてはならないし、自民党との関係も徹底的な解明が行なわれなくてはいけない」と訴えた。
裁判所は、統一教会の釈明には惑わされず、解散命令請求の審理を粛々と進めてほしい。
社民党は臨時国会で統一教会と自民党の癒着・腐敗体質を徹底追及し、教団の財産保全の立法の実現に全力を挙げる。