社会新報

【主張】後半国会の焦点~「戦争する国」への道を止めよう

(社会新報4月11日号3面より)

 

 一般会計の歳出総額で112兆円余りの2024年度予算が、3月28日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。防衛費が前年度より1・1兆円余り増え、約8兆円の大軍拡予算となった。
 政府・与党は「裏金」問題の実態が解明される前に関係議員への「処分」によって幕引きを図ろうとしている。社民党は徹底した実態の解明と政治家の責任を明確にした政治資金規正法の改正を強く求めていく。
 「裏金問題」の陰に隠れた感があるが、政府・与党は「戦争する国」づくりを急ピッチで進めている。
 先月29日の閣議で政府は、戦闘機など殺傷能力の高い兵器の第三国への輸出の解禁を決めた。「平和国家」から「死の商人国家」への大転換だ。国会での審議もない中での決定であり、断じて許されない。
 また政府は同じ日、他国からの武力攻撃を受けた際に住民が避難するシェルターの整備に関する指針を初めてまとめた。住民が一定期間避難できるシェルターを沖縄県の石垣市など5市町村に設けることなどが盛り込まれた。シェルターというと聞こえはいいが、昔ふうに言えば「防空壕」だ。沖縄戦を想起するまでもなく、「有事」となれば、シェルターの外は銃弾が飛び交い、いつ自らの身に危険が及ぶか分からない状況に追い込まれる。こんなことを住民に強いること自体、政治の敗北だ。
 「有事体制」への住民の巻き込みは沖縄に限られたことではない。政府は自治体が管理する空港や港湾を「特定利用空港・港湾」に指定し、自衛隊などが活動できることを狙っている。港湾などが戦争の出撃拠点となったことの反省から、戦後はその管理の多くを自治体に委ねてきた。それをなし崩しにするものだ。
 さらに経済秘密保護法案だ。2013年に強行成立された特定秘密保護法の経済版ともいうべきものだ。機密情報を扱う民間事業者などの身辺調査(「適性評価」)を可能とし、人権侵害が懸念される。
 今年度予算に防衛省は「電子防護能力の強化」としてF―35A戦闘機8機とF―35B戦闘機7機の取得を盛り込んだ。これだけで合計2402億円だ。
 運用が始まれば、これに膨大な諸経費が必要になる。しかし、基地負担を強いられている沖縄への振興予算は2678億円にすぎない。誰に向けた政治か一目瞭然だ。一日も早く自民党政治を終わらせよう。