社会新報

【主張】「沖縄慰霊の日」-沖縄戦の戦没者を忘れない-

(社会新報2021年7月7日号3面《主張》より)

 

沖縄は6月23日、「慰霊の日」を迎えた。76年前、沖縄での旧日本軍による組織的戦闘が終わった日とされる。激しい地上戦で県民の4人に1人が命を落とした。

戦後も27年間にわたって米軍の統治下に置かれ、人権は無視され、朝鮮戦争やベトナム戦争、中東での戦争など、アジアを戦場とした侵略戦争の出撃基地の役割を担ってきた。

沖縄県民は日本国憲法の下への復帰を強く願い、戦争につながる全ての動きに抵抗してきた。しかし、いま沖縄県民の願いを踏みにじる動きが進んでいる。

一つは沖縄戦戦没者の遺骨が混じった沖縄本島南部の土砂を辺野古新基地建設のための埋め立てに使用しようとしていることだ。戦没者を冒とくする動きに抗議して、全国の自治体議員ら約250人が、遺骨が混じった土砂を工事に使用しないよう求める要望書を防衛省と内閣官房宛てに23日、提出した。

いま一つは先の通常国会で重要土地調査規制法が成立したことだ。自衛隊や米軍の基地、原発の周囲や離島などの土地利用の実態を調べることなどを可能にする法律だ。

しかし、立法の根拠が不明確な上、私権侵害や国民監視の懸念が強いことから、反対の声が広がりを見せていた。とりわけ沖縄には在日米軍基地が集中し、離島も多いことから、沖縄の基地反対運動つぶしを狙ったのではないかという受け止めも多い。

社民党の元衆院議員で沖縄市長も務めた東門美津子さんは、4月の日米首脳会談で菅首相が「自由、民主主義、人権の普遍的価値を共有する」と述べたことに「辺野古の埋め立てを問う2019年の県民投票一つとっても、7割が反対の意思表示をしました。それでも工事を強行している。民主主義や人権はどこにあるのでしょうか」「怒りを禁じ得ませんでした」(朝日新聞6月4日付夕刊)と語った。

沖縄は負けない。沖縄全戦没者追悼式の若者の「平和の詩」にはいつも感動させられるが、今回も中学2年生が「みるく世(平和で豊かな世界)をつくるのはここにいる私たちだ」と力強く朗読した。

社民党は6月23日に沖縄戦没者の遺骨混入土砂の基地建設使用と重要土地調査規制法に反対して沖縄に連帯する全国一斉行動を展開した。責任の重大さをかみしめ、沖縄県民との連帯をさらに強めていく。

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