2024年6月20日
社会民主党
幹事長 服部 良一
- 昨日19日参議院本会議にて政治資金規正法改正案が自民党と公明党の賛成多数により成立した。本改正は自民党派閥の政治資金パーティー券をめぐる裏金問題等を契機とした改正だが、その内容は抜け穴だらけであり自民党の金権腐敗政治を終わらせることができない。社民党は反省なき自民党案による本改正に対して断固反対である。
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まず、元凶である政治資金パーティーは禁止せず、パーティー券購入者を公開する基準額を現行の20万円超えから5万円超えへ引き下げるのみである。これでは、5万円以下で複数回パーティーを開催することで、従来通りの政治資金パーティーによる資金集めが可能のままだ。
さらに、企業・団体献金への規制は見送られた。大企業による政治支配を無くすために、政党助成金を導入した1999年の政治改革から一歩も前進しない改正である。また、政策活動費については、廃止せず政治資金収支報告書へ年月を記載し、年間上限額を設定し、領収書等を10年後に公開することとなった。10年後の公開ではあまりにも遅すぎる。収支報告書の虚偽記載に関する罪の時効が5年であり、10年後の公開では罪を問うことができない。さらに、領収書等を黒塗りできる余地があり、政策活動費はブラックボックスのままである。しかも、10年後公開については附則であり、いつから開始するかも不明瞭のままだ。
議員への罰則強化も不十分である。収支報告書の作成を受けて議員は「確認書」の発行が義務付けられ、収支報告書の虚偽記載などで会計責任者が処罰された場合に、確認が不十分であれば公民権停止の対象となる。しかしながら、議員はどこまで確認するべきかが曖昧なため、議員の責任が問われない可能性もある。
- 改正案の国会審議での日本維新の会の対応も迷走した。5月31日に日本維新の会の馬場伸幸代表が岸田首相と3項目の「政治資金制度改革に向けた合意事項」へ署名し、6月6日に衆議院本会議を自公維新の賛成で通過した。ところが日本維新の会は、合意文書で調査研究広報滞在費(旧文通費)の改革を今国会にて見送られたことへ反発し、参議院では反対に転じ18日には問責決議案を提出した。衆院では賛成、参院では「大げんか」というわけだ。まさに「迷走」の極みだ。
- 岸田首相は昨年12月に裏金問題で失われた信頼回復のために「火の玉となって」取り組むと豪語していた。その成果が本改正であるならば、自民党政治で金権腐敗政治を一掃することは不可能である。全国紙の反応も厳しい。毎日は「国民を愚弄する弥縫策」、朝日は「抜本改革に値せず、国民の不信を上塗り」、日経は「これでは政治資金の不正を根絶できない」と社説で批判した。自民党に自浄能力がないことが鮮明になった。裏金・金権政治一掃のためには一刻も早い政権交代が必要である。