(社会新報2021年7月14日号2面より)
7月4日に投開票された東京都議選小金井市選挙区(定数1)で、社民党や立憲民主党、共産党、生活者ネット、新社会党、緑の党・グリーンズジャパンが推薦した漢人明子さん(無所属・新人)が初当選した。
市民と6党派の共同戦線による勝利のモデルケースともいえる。
福島みずほ党首が告示日の6月25日、武蔵小金井駅南口でマイクを握り、東京五輪を強行しようとする菅政権を厳しく批判し、漢人さんへの力強い応援演説を行なった。漢人さんは、五輪の中止や、休業補償の迅速支給、生活給付金の再支給などを訴えた。立民の菅直人元首相、上原公子元国立市長なども応援に入った。
今回の都議選(定数127)では、衆院選の前哨戦として新型コロナウイルス感染対策や五輪開催の是非をめぐり、活発な論戦が交わされた。
当選者数(カッコ内は改選議席数)は自民党33人(25人)と公明党23人(23人)で過半数に及ばず、都民ファーストの会は31人(45人)で第1党から第2党に転落、立憲民主党が15人(7人)と共産党19人(18人)は、すみ分けの効果もあり、議席を増やした。
社民党都連は、残念ながら党分裂の混乱もあって公認候補の擁立を見送ったが、推薦12人・支持4人を決めて応援に回った。その結果、推薦8人、支持3人が当選した。福島党首や服部良一幹事長も野党候補応援に駆けつけ、社民党をアピールした。
今回、自民党と公明党が合わせて過半数に及ばなかった。後手に回った新型コロナ対策や五輪への対応など、菅政権に対する都民の厳しい審判と見るべきだろう。
自民党はかろうじて都議会第1党に返り咲いたとはいえ、都民ファーストの会の減少幅が縮まった分、自民党の大幅な勢力回復は実現しなかった。
菅首相は告示日に党本部前で第一声を上げたのみで、街頭演説を一度も行なわなかった。
ワクチン接種の加速化を声高に求める首相の下、幅広く職域接種を呼びかけたが、ワクチンの供給不足で接種の休止に追い込まれた。政府の準備不足に反省が求められる。
「観客入りの五輪開催ありき」で強引な菅政権に対して、「無観客」開催を公約に掲げたファーストの会がそれほど負けなかったことや、中止を訴えた共産党や中止か延期を主張した立民が議席を伸ばしたことを重く受け止めなければならない。