声明・談話

【談話】韓国の「戒厳令」宣布について

2024年12月5日

社会民主党

幹事長 服部 良一

 

  1.  12月3日22時半、韓国の尹大統領は戒厳令を宣布、戒厳令司令部を設置、23時には「国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁じる」「すべてのメディアと出版は戒厳令によって管理される」などの布令第一号を発令した。国会には完全武装の戒厳軍が集結し一部は窓ガラスを破壊し国会内に突入するなどしたが、国会議員・秘書官・職員はじめ万余の市民が体を張って抵抗し国会を守った。まさに驚愕の事態である。

  2. 大韓民国憲法77条で戒厳令宣布の要件として「戦時・事変又はこれに準ずる国家非常事態において兵力をもって軍事上の必要に応じ」とあり、今回のように非常事態でない宣布は明らかに憲法違反と言える。しかも野党の反対で来年度予算が削減されたことを理由とし、強硬手段で政権運営の打開を図ったとみられ、まさに武力で議会制民主主義を抹殺する暴挙である。
  3. 深夜国会には続々と与野党の国会議員が集まり、過半数の議決で戒厳令の解除ができることから4日深夜1時過ぎに与党19人の議員を含む190人の全員賛成で解除が決定された。しかし政府が正式に解除を公示したのはその4時間後、4日の午前5時となった。野党からは尹大統領を内乱罪で逮捕しろの声も上がっている。

     韓国野党6党は4日尹大統領への「弾劾訴追案」を提出した。野党だけでは訴追可能3分の2に満たないため与党内の対応に関心が集まる。国会で可決すれば憲法裁判所におくられ審議される。罷免が決まれば大統領選となる。

     弾劾に至らなくても今回の事態に対する国民の怒りと不信は大きく辞任を求める声はますます大きくなるであろう。韓国政界は混迷し日韓関係や日米韓安保体制にも影響が指摘されている。注視をしていきたい。

  4. 今回の事態を日本の我々はどう見たらいいのか。憲法改正議論でこの間緊急事態条項を憲法に規定する議論があった。しかし今回の韓国の事態を見ると、時の権力者の誤った判断がいかに危険な事態を招くかまざまざと見せつけられたのではないか。社民党は今回の事態をしっかり検証し、あらためて緊急事態条項の改憲に反対の声を広げていく決意である。

以上