今回、高市首相が解散・総選挙を急いだ主な要因には「統一教会追及逃れ」がある。「TM特別報告」(以下、報告書)と題する統一教会(世界平和統一家庭連合)の極秘文書が、自民党を揺るがせているからだ。統一教会が国政選挙で自民党を組織的に支援したことを示す内部資料だ。
報告書は、韓国の検察が韓国統一教会の政界工作の捜査の過程で押収したとされる。世界各地から届く連絡事項を「トュルーマザー」(真のお母様)こと韓鶴子・統一教会総裁に報告するため、教団幹部の尹英鎬氏が記録した文書である。2018年から22年末までの記録が残され、原文はハングル語でA4の3212ページに及ぶ。
特筆すべきは、教団の徳野英治会長が2021年12月8日付の報告書で、「我々が応援した国会議員の総数は、自民党だけで290人に達する」と記載していることだ。
自民党と教団の癒着関係は、22年7月、奈良市内で安倍晋三元首相が教団に恨みを持った山上徹也被告に暗殺されたことを機にクローズアップされた。自民党は同年9月、所属国会議員に教団との関係について自己申告を求め、接点があったのは179人と公表した。徳野会長が記載した「290人」と大きな開きがある。
しかし、徳野氏が報告書について自らが報告した内容が含まれていると認めている。自民党現職議員が報告書を事実と認める証言も多くある。石破内閣で首相補佐官を務めた長島昭久氏は自民党調査では教団との接点を否定していたが、報告書には「長島氏は元々マッチング家庭だった」と記されている。「マッチング家庭」とは合同結婚式を指す。これを週刊誌が報じると、長島氏は事実関係を認め、現在は脱会していると自身のサイトで明かした。
報告書には高市首相が32回も登場している。徳野会長は21年9月18日付で「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いである」と持ち上げている。高市首相が代表を務める自民党支部が19年に開いた政治資金パーティーで、教団関連団体が計4万円の券を購入していた疑いも報じられた。これまで高市首相は教団との接点を否定し、党調査結果にも名前はなかった。
自民党調査のずさんさが浮き彫りになった。社民党は、教団と政界との癒着関係の全容解明のため、国会での追及に全力を尽くす。