【主張】生存のための政権交代-「民主主義の危機」を招いた自民の無責任-
(社会新報2021年10月20日号3面《主張》より)
10月4日に召集された臨時国会では、14日に衆議院が解散され、19日公示・31日投開票の総選挙戦に突入した。首相就任から解散まで10日間、解散から投開票までは17日間というスケジュールは戦後最短だ。「可及的速やかに総選挙を行ない、この岸田にお任せいただけるかどうか、ご判断をいただく」とその理由を語った岸田文雄首相だが、大臣の所信表明も予算委員会も開かず、何を判断基準に決めろと言うのだろう。
岸田首相は、自民党の総裁選後に行なわれた両院議員総会で、「わが国は民主主義の危機にある」と発言した。それを聞いて、「どの口が言う」と突っ込んだ人は多いだろう。今の日本の「民主主義の危機」は、いったい誰が招いたと思っているのか。「特定秘密保護法」(2013年)、「安保法制」(15年)、「共謀罪法」(17年)、「高度プロフェッショナル制度」(18年)、「改正国民投票法」「重要土地規制法」(共に21年)など、十分な審議時間も経ず数の力で強行採決した法案は数知れず。森友・加計疑惑、桜を見る会などに見られる政治権力の私物化、データや公文書の改ざん、破棄などの信じられない行為、河井夫妻の買収事件など、全て安倍・菅政権の約9年間で行なわれてきた。「民主主義の危機」を招いたのは、まさに自民党そのものであり、それに追随してきた補完政党ではないだろうか。
民主主義の危機にストップをかける衆議院選挙がいよいよ始まった。全国各地の党員が準備に追われ、街頭に立ちって支援を呼びかけている。社民党は、9つの小選挙区・比例重複、6つの比例単独で候補を擁立。計15人の候補者が戦いに挑む。合流問題を経て初めて実施される今回の国政選挙。「社民党を残そう」と決断した私たちの本気を見せる時だ。
今回の社民党のスローガンは「生存のための政権交代」だ。自粛をしろと言うが補償の話はなし。コロナに気をつけろと言うが、PCR検査の拡充は行なわない。休業要請・時短営業に従っても協力金が入るのは数ヵ月後。コロナ禍で解雇・雇い止めされた人は全国で11万人以上。急増する女性・子どもの自殺率。もはや生き延びるためには政権交代しかないといった現実から、このスローガンは生まれた。
政治の役割は、命と暮らしを徹底的に守ることだ。その土台が崩れている今、私たちは野党共闘で政権交代を実現しよう。