社会民主党幹事長 服部 良一
昨日2月3日、森喜朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長は、オリンピック委員会(JOC)評議員会で、スポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針「ガバナンスコード」に沿い、女性理事の割合を40%以上にすることを目標としていることについて、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと、運営指針をけん制し、自らの偏見に基づく女性蔑視の差別発言を行った。また、それに対し周囲からも笑い声が上がったことは看過できない。
オリンピック憲章には、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、 政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない」と書かれてある。今回の森氏の発言は、あきらかにこれに反していると言わざるを得ない。森氏は4日記者会見を開き、発言の撤回と謝罪を行ったがそれで許されるものではない。このような人物に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長が務まらないことは明らかであり、即刻辞任すべきである。
森氏は発言の真意について、「女性を蔑視する意図はまったくない」と説明したが、女性たちは、これまで、どれほど同じような弁明を聞かされ続けて来たことだろう。「昨夜、女房にさんざん怒られた。『またあなた、大変なことを言ったのね。女性を敵にしてしまって、私はまたつらい思いをしなければならない』と言われてしまった。今朝は娘にも孫娘にもしかられた」と、妻や娘を引き合いに出して勘弁願おうとする態度も、性差別発言をした男性たちの常套手段だ。弁明の時まで、女性を利用するのは止めてもらいたい。
「女性っていうのは競争意識が強い」という森氏の発言に代表されるように、男社会によって、女性たちは常々、様々なレッテルを貼られてきた。「女性はすぐに感情的になる」「女は論理的な話ができない」「女は泣けばいいと思っている」「女の敵は女」など、男社会に都合の良いレッテルを貼り、男性よりも価値が低いものとして女性たちは扱われてきた。それをおもしろおかしく笑い、消費してきたからこそ、森氏の発言に間髪入れずに笑える無邪気な人々が存在し、差別発言を繰り返す政治家がお咎めもなく、その場所に居続けることになる。
森氏の発言は、単なる女性蔑視にとどまらず、図らずも男性中心の政治の在り様を露呈する結果となった。重要な話は会食の場で根回しし、議論の場はそこそこに、予定調和で会議が終わり、イエスマンが忖度する、そんな男社会が透けて見えた。だからこそ、活発な議論を生み出すには、男社会のルールをわきまえない女性たちの存在が必要不可欠だ。
社民党はジェンダー平等政党を目指し、私たちの組織が抱えている性差別の構造に真摯に向き合い、改善を目指すことともに、性差別を許さない社会を実現するために、今後も尽力することをここに約束する。