声明・談話

トリチウム汚染水海洋放出決定に抗議する緊急アピール

社会民主党福島県連合代表
狩野光昭

 

13日、政府は関係閣僚会議でトリチウム汚染水海洋放出を決定した。

福島県内の7割を占める市町村議会で反対又は慎重に対応する意見書が採択されている。福島県内の団体が集めた反対署名は44万筆をこえている。また、2018年8月に政府と東電は、県漁連等に対して、関係者の理解なしにはいかなる処分もしないと文書回答をしているにもかかわらず、その約束を反故するものである。

福島第一原発のタンクに保管されているトリチウム汚染水の7割が処分に必要な告示濃度を満たしていないのが現状である。また、2018年に東京電力はトリチウム以外にもストロンチウムやヨウ素等の放射性物質が残存していることを発表している。約1,000基あるタンク内の汚染水放出期間は、約40年かかると東京電力は認めている。海水で薄めて放出するといっているが、トリチウム等の放出総量は変わらない。

福島第一原発以降も東京電力の不祥事やトラブルが相次いでいる。最近では2月の福島県沖地震で3号機に設置していた地震計2機が故障していたこと公表していなかったこと。福島第一原発敷地内で内容不明のコンテナ約4,000基が敷地内で発見されたこと。また、柏崎刈羽原発での核物質防護不備などがあげられる。隠ぺい体質の改善がみられないことで県民の不信感は払拭されていない。

福島県の沿岸漁業は原発事故以降、2012年から始まった試験操業が3月に終了し、4月から本格操業にむけた移行期間であった。このような時期に、汚染水を海洋放出することは風評被害を政府がつくっているといわざるを得ない。

漁業関係者は損害賠償の問題ではない。生業を守り、後継者に漁業を引き渡したい、これ以上、豊かな海を汚してもらいたくないと訴えている。政府や東京電力はこの声に応えるべきある。風評被害は漁業に止まらず、福島県内のすべての産業に影響を及ぼすものである。

私たちは、トリチウムを含む汚染水の海洋放出に断固反対する。郷土を取り戻す懸命なる県民の努力に水をかけ、「故意による二次的加害」である「トリチウム汚染水」海洋放出は許せません。陸上保管や分離処分での汚染水の減衰対策を行うことを強く求める。

 

以上