(月刊社会民主2021年7月号)
コロナ禍が始まって一年半近く。「女性不況」とも言われる中、女性の自殺者は急増。20年は前年から935人も増えた。
そんな中、女性による女性のための相談会を3月に開催した。その報告会が6月4日に行なわれ、私も参加した。
コロナ禍以降、目に見えて増えた、炊き出しに並ぶ女性。飲食や宿泊といったサービス業が打撃を受ける中、何の保障もなくクビを切られた女性たち。そんな中、困窮者支援団体に助けを求める女性は増え続けている。この年末年始、東京・新宿で開催されたコロナ被害相談村には344人が訪れたが、うち約2割の62人が女性。そのうち29%がすでに住まいがなく、21%が所持金1000円以下、42%が収入ゼロ円の状態だった。
相談に訪れた女性の中にはDV被害経験などから男性支援者への相談に抵抗がある人や、「女性弁護士に相談したい」という人もいた。また、生理用品などが欲しくても男性にはなかなか言い出しづらい。そんな声を受けて、スタッフ全員女性の相談会を実施したのだ。
訪れたのは122人。仕事の相談がもっとも多く、「心とからだ」「家庭・家族」の問題と続く。年代では、もっとも多かったのは50代。40代、30代と続き、20代も8%いた。中には歌舞伎町のネットカフェで寝泊まりする若い女性たちもいた。
2日間にわたった相談会、私も相談員をしたのだが、切迫した状況の人もいた。3年前から住まいがなく、お金がある時はネットカフェ、ない時は路上という女性。今晩も野宿という彼女に付き添い、すぐに生活保護申請。その日からホテルに泊まれることになったので胸をなで下ろした。一方、部屋はあるものの、昨年、派遣の仕事を切られ、所持金が1万円ちょっとになった女性の生活保護申請にも同行した。
2日間で十数人の相談に対応したが、労働問題、生活問題と割り切れるケースは少なく、一人が複合的な問題を背負っている状態。例えば離婚、DV、子どもの問題、借金、役所とのトラブルが一人にのしかかっているという具合だ。相談会には、「生理が遅れている」という女性も訪れた。支援者に付き添われ、近くのパチンコ屋のトイレで妊娠検査薬を使ったところ、妊娠が判明。ネットカフェ暮らしの女性はその場で泣き崩れたという。
報告会では、実態調査や安定雇用などを求めた「女性に対する政策に関する要望書」を福島みずほさんら女性議員に提出。不安定雇用など、さまざまな立場の女性が安心して暮らせる社会が、一刻も早く実現してほしい。
1975年、北海道生まれ。不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に関わり、取材、執筆、運動に取り組む。メディアなどでも積極的に発言。
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