月刊社会民主

◆雨宮処凛の連載コラム 迫り来る運命の参院選~非正規の窓口を残そう~

(月刊社会民主2022年7月号)

 

 

 

 もうすぐ選挙だ。

 この参院選を終えたら3年間、国政選挙はない可能性が高いと知り、危機感を抱いている。政権が、思い切り好き勝手できてしまう3年間。いったい3年後、日本はどうなってしまうのだろう? 考えただけで暗たんたる気持ちが襲ってくる。

 3年後と言えば、2025年。あなたは何歳だろうか。75年生まれでロスジェネの私は、なんと50歳だ。ということは、3年後、年長ロスジェネの多くは50代となっているわけである。バブル崩壊後の就職氷河期で正社員になれず、「失われた30年」が20歳から50歳と重なった結果、20代からずーっと非正規で、月収は20万円を超えたことがなく、未婚・子なしという同世代が、私の周りには山ほどいる。そう思うと、この国の政治の無策に本当に悔し涙が出てくる。

 そんな中、ロスジェネや非正規問題に取り組んでくれた数少ない政治家の一人が、福島みずほさんである。

 初めての出会いは、「朝まで生テレビ」のメイク室だったと思う。おそらく07年。そのころ、私は格差・貧困に取り組む運動を始めたばかりで、政治家の知り合いは一人もいなかった。というか、政治家に信じられる人なんていない、くらいの気持ちでいた。

 そんな私に声をかけてくれたのが、みずほさんだった。第一声は「プレカリアート、知ってるよ!」。プレカリアートは、不安定なプロレタリアートという造語。日本で言えば、非正規で働く人や、長時間労働やノルマに忙殺される正社員、ニート、ひきこもりなども含む概念。要は1%の超富裕層に対する99%という意味である。

 それからみずほさんとお付き合いが始まったのだが、私にとっては衝撃の連続だった。「政治家」の中に、これほど貧困・非正規問題に共感してくれる人がいたなんて。私が運動を始めるずっと前からこういった問題に取り組んでいたなんて。

 みずほさんはフリーターのメーデーにも参加してくれて、一緒にデモを歩いてくれた。「自分たちは忘れられ、見捨てられている」と思っていた若者たちにとって、どれほど心強いものだっただろう。それからも一貫して、弱者の味方であり続けているみずほさん。

 そんなみずほさんの選挙を控えて、「応援団」の一人として『サンデー毎日』の取材を受けた。インタビュー記事のタイトルは「非正規・貧困の窓口として生き残って!」。言いたいことはいろいろあるが、結局、この一言に尽きる。非正規やロスジェネと国会をつないでくれた第一人者は、間違いなくみずほさんだ。

 だからこそ、ホントに国会にいてもらわなきゃ困る。運命の参院選の投開票日は、あと少しだ。

 

あまみや・かりん

1975年、北海道生まれ。不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に関わり、取材、執筆、運動に取り組む。メディアなどでも積極的に発言。

 

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