月刊社会民主

月刊社会民主7月号が6月27日に発売。特集は「在宅介護の危機を考える」

 

 要介護の高齢者が自宅で暮らしていくために、訪問介護は欠かせないサービスだ。ところが政府は、小規模・零細の訪問介護事業の厳しい経営状況を無視して、3年に1度の介護報酬の改定で、4月から訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げた。

 2023年の訪問介護事業者の倒産は67件と過去最高。今回の引き下げで小規模・零細事業者の撤退が加速し、在宅介護の基盤が崩壊する恐れがある。

 政府は訪問介護の基本報酬を引き下げた理由として、訪問介護の利益率が他の介護サービスよりも高いことを挙げた。だが集合住宅併設型の事業所などが利益率の平均値を引き上げているものであり、全体の実態からはかけ離れている。

 訪問介護は他の介護事業と比べて賃金水準が低く、人手不足は深刻だ。

 今回の報酬の引き下げは、「施設から在宅へ」の在宅介護の政府基本方針に逆行する。介護関連の国の予算を増やし、介護保険料・利用料の軽減と、介護報酬の抜本的な引き上げを実現しなければならない。