(社会新報2022年3月16日号2面より)
名古屋入管収容中に亡くなったスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの一周忌となる3月6日、東京、名古屋、大阪など全国各地で入管闘争全国一斉アクションが取り組まれた。東京では、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合やBOND(外国人労働者・難民と共に歩む会)が呼びかけ、品川北ふ頭公園での集会・黙とうと東京入管を周回する追悼デモが行なわれ、約300人が駆けつけた。入管に収容されている外国人たちが11階の運動場から手を振ると、デモ参加者も手振りと「頑張れよ!」「一人じゃないぞ!」というエールで応えた。
デモ後の総括集会では、仮放免中の収容経験当事者や、その家族らが難民と認定されないことへの憤り、家族のあり方が日本の難民政策・入管行政によって壊されることの悲しみを語った。
施設内の人権侵害多発
支援団体などによれば、入管収容施設での死亡者(病死・外傷死・自殺)は1993年以降26人に上っている。ウィシュマさんの死亡事件の後も、牛久入管でブラジル人男性収容者のフジナガさんが警備員にヘッドロックをかけられ、東京入管でスリランカ人男性収容者のジャヤンタさんが2度の新型コロナ感染と後遺症に苦しんだ上に職員から集団暴行を受けるなど、人権侵害は続いている。
ウィシュマさんの事件の真相究明に関しても、ようやく昨年末に衆参の法務委員会委員に監視カメラの映像が限定開示された段階であり、道半ばだ。昨年8月10日発表の「最終報告書」やウィシュマさんの遺族代理人を務める弁護士らによる行政文書開示請求への黒塗り開示からは、入管庁がこの問題と真摯(しんし)に向き合わず、真相究明にも消極的な姿勢がにじみ出ている。
難民保護法と、本来的な意味での入管法改正によって、保護と共生の難民政策へと転換し「ウィシュマ・サンダマリさんが生きられた社会」を実現することが私たちに与えられた課題だ。
↑東京入管近くの公園でウィシュマさんを追悼する集会が開かれた=6日、東京・港区。
↑ウィシュマさんの遺影
社会新報ご購読のお申し込みはこちら