社会新報

「被爆者の魂に導かれた」~秋葉前広島市長が参院選出馬へ決意~

(社会新報2022年6月8日号1面より)

 

 秋葉忠利前広島市長が5月27日、衆院第2議員会館で参院選社民党比例代表に出馬する記者会見を開き、「被爆者の魂に導かれた」出馬であると訴えた。

 

 

 服部良一幹事長が司会を務め、会見には秋葉さんのほか、上原公子元国立市長、中川智子前宝塚市長、福島みずほ党首、新垣邦男副党首、青山秀雄党東京都連代表が臨んだ。

 福島党首があいさつで「先の日米首脳会談の共同記者会見で(米国の核戦力などで日本を守る)『拡大抑止』という言葉が使われ、非核三原則が踏みにじられようとしている。この危機の中で、最も適任で最も素晴らしい秋葉さんが出馬を決意してくれたことを本当にうれしく思う」と熱烈なエールを送った。

 秋葉前広島市長は開口一番、今回の出馬を決断するに至った思いについて、「一言で申し上げると、亡くなられた被爆者の魂に導かれた」と述べた。

 出馬の理由について秋葉さんは、①核兵器廃絶を求め、ヒロシマの心を世界に発信するため②存亡の危機に瀕する社民党の力になるため――という2点を挙げた。

プーチン大統領に怒り

 「ウクライナ戦争が2月24日に始まり、プーチン大統領が核を使うぞと脅しをかけた。その言葉を聞いた途端に、背筋が寒くなった。私は被爆直後の広島、長崎の悲惨な状況の中で亡くなられた多くの皆さんの姿を思い浮かべ、二度と繰り返させてはいけないとの思いを強めた。3月1日からオンライン署名サイト『Change.org』で署名運動を始めた。プーチン大統領に『核兵器を使用しないとただちに宣言してください』とのメッセージを送ろうという内容だ。1週間ほどで5万人が賛同し署名した。4月末までには10万人が賛同。岸田首相にも書簡を送り、核保有国の首脳にも書簡を送った。岸田首相に送った理由は、彼が広島選出の国会議員だからだ」

ヒロシマの心を世界に

 秋葉さんの熱弁は続いた。

 「核兵器を持つ、核兵器を使うということが、多くの政治家や市民の日常的な感覚になりつつある。広島、長崎の経験はどこに行ってしまったのかと疑わざるを得ない雰囲気に覆われている。あらためて被爆の実相を伝えなければならない。被爆者のメッセージを骨の髄まで理解してもらう働きかけをしなければいけない。ヒロシマの心を世界にもっともっと広げたい」

 社民党についても、「私の古巣であり、政策審議会長を務めた。その社民党が今、存亡の危機に直面している。政党要件を満たして、新たな力を得て、若い世代の人たちにも戦争体験からくる平和の哲学をきちんと学んでもらいたい。その役割の先頭を走る政党として頑張ってほしい。そのために私も社民党のために少しはお役に立てるのではないか」と述べた。 

首長経験者からの激励

 秋葉さんの後援会長を務める中川前宝塚市長は、衆院議員時代の秋葉さんについて「秋葉さんは時々、夜中に電話で私を起こした。例えば『今、インドで核実験が行なわれた。中川さん、一緒に今から大使館に抗議に行こう』と。秋葉さんは、どこかで核実験が行なわれれば、必ず抗議文を大使館に手渡した」と振り返り、「世界の平和を求めて動く秋葉さんの姿から本当に学んだ」と応援の弁を述べた。

 続いて上原元国立市長が、「秋葉さんが広島市長として発表した平和宣言は、国立市長の私に大きな希望を与えてくれた。私は常に平和宣言文を握りしめていた。本当に尊敬している。必ず当選してもらいたい」と熱く語った。

 

↑会見する(左から)秋葉さん、福島党首、新垣副党首(5月27日、衆院第2議員会館)。

 

↑こぶしを上げる(左から)上原、中川、秋葉、福島、新垣、服部、青山の各氏(同)。

 

↑ガッツポーズの(左から)上原、中川、秋葉、福島の各氏(同)。

 

 

あきば・ただとし

1942年、東京・荒川区生まれの79歳。高校時代、国際教育交流団体AFSによって米国留学。東大理学部数学科・同大学院修士課程卒業。マサチューセッツ工科大学で博士号を取得後、ニューヨーク州立大学、タフツ大学などで教壇に立つ。世界のジャーナリストを広島・長崎に招待し、被爆の実相を伝える「アキバ・プロジェクト」を運営。87~90年に広島修道大学教授。90年から衆院議員を3期務め、社民党政審会長などを歴任。99年から広島市長(3期)。2011年から14年まで広島大学特任教授、AFS日本協会理事長。10年にはアジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」に輝いた。現職は、広島県原水禁代表委員、戦争をさせないヒロシマ1000人委員会呼びかけ人代表、ヒロシマ・ピース・オフィス代表。

 

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