【主張】沖縄の選挙イヤー始まる~全力で「オール沖縄」勢力の勝利を!~
(社会新報2022年1月26日号3面【主張】より)
沖縄県の名護市長選と南城市長選が1月16日、告示された(投開票は23日)。今年は沖縄県の7市11町村で首長選、30市町村で議会議員選挙が実施される。夏に参院選、秋に知事選という沖縄の選挙イヤーだ。
その火ぶたを切る両市長選は、この主張の執筆時点(20日)では結果は出ていないが、いずれも政権与党の自民・公明が推薦する候補と、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力が推す候補者による事実上の一騎打ちとなっている。この結果が今後の選挙イヤー全体に影響を与える。
特に名護市長選は、名護市辺野古に米軍普天間飛行場の機能を移設するための新基地建設が浮上してから7度目の市長選となる。辺野古新基地は、名護市や沖縄県の住民を翻弄(ほんろう)し続けてきた。経済振興への期待から基地を受け入れようとする中央政府与党側の陣営と、過重負担の固定化につながる基地受け入れに反対する「オール沖縄」陣営との対立が続く。
2018年には埋め立て予定の大浦湾が軟弱地盤であることが分かり、改良工事が必要となった。国の試算では完成までに12年約9300億円の工費を要するという大規模な計画変更である。昨年11月には、沖縄県は改良に必要な国の設計変更を不承認。県と国の対立は新たな局面を迎えている。
前回18年の市長選で基地反対の現職を破って初当選した渡具知武豊氏は、最後まで辺野古新基地への是非を語らず、争点化を避け続けた。今回の選挙でも、渡具知氏は「国と県の係争が決着を見るまでは、見守るよりほかない」と態度を明らかにしていない。「軟弱地盤で完成が見通せず、県民投票で反対の民意は示されている」として建設阻止を前面に掲げる岸本洋平候補の訴えをはぐらかす、姑息(こそく)な戦術だ。名護市長選は新基地建設という明確な対立軸を争点にできない構図のまま進んだ。
沖縄のアイデンティティの確立を訴えた翁長雄志知事が18年に亡くなり、「オール沖縄」から保守系の経済人が離脱するなど、超党派の枠組みには揺らぎも見える。しかし、19年の県民投票でも投票者の約7割が辺野古埋め立てに反対意思を示すなど、沖縄の民意は明確だ。台湾有事が懸念されるなかで、沖縄を再び戦場にしてはならない。これ以上の基地機能の強化を許さないため、「オール沖縄」勢力とともに選挙イヤーを勝ち進もう。
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