社会新報

【主張】次期戦闘機の第三国輸出~武器商人が「平和国家」を名乗れるのか

(4月4日号3面より)

 

 自民、公明両党は、日本が英国、イタリアと共同開発をすすめている次期戦闘機の第三国輸出を解禁することで合意した。これを受け、3月26日の国家安全保障会議と閣議が、新たな防衛装備移転三原則の運用指針を定め、武器輸出のルールが大幅に緩和された。
 戦闘機は殺傷兵器の典型であり、その輸出は武器輸出そのものだ。戦後日本が憲法の平和主義に基づいて堅持してきた専守防衛の理念に明らかに反する。このような安全保障政策の大転換を、国民的議論もないまま与党間の合意だけで進めることはとうてい許されない。少なくとも、国会で徹底的に議論する必要があったはずだ。
 日本は長年、「武器輸出三原則」に基づいて、実質的な武器の禁輸を続けてきた。第2次安倍政権下の2014年に「防衛装備移転三原則」が制定され、抑制的な武器輸出政策は転換されたが、今回、戦闘機まで輸出できるようになった。
 閣議決定は、輸出する際に「個別案件ごとに決定する」こととして、運用指針に第三国輸出を認める項目を新設しつつ、今回は対象を次期戦闘機に限るとした。輸出は日本と協定を結んだ国に限り、現に戦闘が行なわれている国には輸出しないという。岸田文雄首相はこれが歯止めとなり「平和国家の理念に反しない」としている。公明党は当初、「紛争を助長し、日本の安保環境を損なう恐れがある」などと慎重な姿勢だったが、この「歯止め策」を受けて容認に転じた。
 しかし、これが実際に歯止めとなるとは思えない。対象国は現在15ヵ国だが、新たに協定を結べばいくらでも増やせる。輸出先で国際法違反の攻撃や、他国への侵略に使われないかを監視することができるとも思えない。
 これまでも自公政権は、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など賛否が分かれる安保政策を、与党協議と閣議決定で次々と転換してきた。国民的議論も、国会論戦も経ないまま、閣議決定を重ね、平和主義の実態をなし崩しにする手法は断じて認めることはできない。
 殺傷能力のある兵器を輸出し、世界の武器商人となることは、戦前の反省を踏まえ平和国家として歩んできた日本への国際的な信用を揺るがすものだ。平和憲法の歩みを、拙速な与党協議と閣議決定で切り崩しながらすすむ「戦争のできる国」づくりを許してはならない。