社会新報

【主張】地域の衰退と急速な少子化~自民党政治を終わらせ、規制緩和・民営化路線からの転換を

 総務省は先月24日、今年1月1日時点の人口動態調査を発表した。
 それによると、外国人を含む日本の総人口は1億2500万人弱で、前年を53万2000人余り下回り、日本人に限ると約86万人、0・70%減少した。1968年の調査開始以来、最大の減少幅となった。
 人口が86万人以下の県は現在7県ある。たった1年で1県が消えてしまったという大変な事態である。その原因について多くの人が少子高齢化と指摘する。
 4月に衆院の補欠選挙が3つの小選挙区であったが、島根1区はその一つだった。唯一の与野党対決となり、結果が注目された。立憲民主党候補が約8万2000票余りを獲得し、2万4000票以上の大差をつけて自民党公認候補を破った。 
 島根県もこの1年で日本人が1・33%減少した。地元紙は選挙結果について次のように解説した。「島根は人口減少が進み、人手不足や少子高齢化など国を挙げて取り組むべき喫緊の課題が山積する。しかし、今回の補選でそういった政策論争は政治とカネの問題に隠れ、深まらなかった」。街頭演説では「公約はなんだ。悪口はいいから公約を話せ」といったヤジも飛んだという(『山陰中央新報』5月1日付など)。
 日本社会の深刻さは誰の目にも明らかだ。地方を支えてきた第一次産業が衰退し、地場産業も景気の低迷で倒産や廃業が相次ぐ。若者は都会に働く場を求めて地方を離れるが、都会も非正規職が多く、低賃金の上、家賃も高いなど、安定した生活を送ることが難しい。これでは結婚や子どもを産み育てることも厳しい。少子化が進むのは必然だ。
 一方で、一部の大企業は史上空前の利益を上げ、政府・自民党は、規制緩和・民営化路線を突き進んできた。国鉄・郵便・電電・教育・水道などに加え、デジタル化、マイナンバー制度の導入と、規制緩和・民営化の動きは枚挙にいとまがない。
 しかし、多くが破綻したり、前宣伝とは異なり国民に負担を強いている。にもかかわらず政府はこれまでの政策を改めない。その中で顕在化したのが「裏金問題」であり、防衛省やトヨタ自動車、川崎重工に代表される不祥事だ。
 地域の衰退と少子化、そして働く者の生活を苦しめる原因が自民党政治にあることを明らかにし、党の政策を訴えていこう。