社会新報

8月15日、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で福島みずほ党首が「誓いの言葉」

福島党首は無名戦没者の遺骨が納められた六角堂前で「誓いの言葉」を述べた。(8月15日、東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑)

六角堂前で献花する福島党首。

千鳥ヶ淵戦没者墓苑の六角堂前で平和フォーラム主催の追悼集会が行なわれた。

 

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 戦争が終わって79年目の8月15日、本日ここ千鳥ヶ淵戦没者墓苑にて、戦争のために命を奪われた全てのみなさんに心から哀悼の意を表します。

 軍人・軍属、民間人、侵略戦争の被害者、加害者、戦地での被害者、男性・女性、大人・子どもなど、戦争の被害者となった全ての人々に哀悼の意を表します。

 そして、戦争の被害者のみなさんに心からお見舞いを申し上げます。

 現在、世界では、ウクライナ戦争、ガザにおけるイスラエルによる無差別殺人・ジェノサイドが行なわれ、なんとしても一刻も早く戦争を終わらせなければなりません。

 戦争の被害から私たちが学ぶことは、2度と戦争をしてはならないということです。

 しかし、日本の政治はこれに明らかに反しています。

 自民党政府は、2015年の安保関連法・戦争法を強行成立させ、2022年12月、安保三文書を閣議決定しました。

 私は、2016年から、与那国、石垣島、宮古島、沖縄本島、屋久島、馬毛島、種子島、奄美大島などの沖縄南西諸島の現場を歩いてきました。自衛隊基地の配備とミサイル計画、どの島も軍事要塞化され、戦争の準備が進められています。集団的自衛権の行使で敵基地攻撃をすれば相手国からは先制攻撃とみなされ、日本が戦火にまみえるということがあり得るわけです。

 昨年の2023年、国会では、防衛予算確保法と軍需産業強化法が成立させられました。経営的に困難な軍需産業を国有化できるというものです。

 2024年の通常国会では、経済秘密保護法や自衛隊法改悪法、地方自治法改悪法、日本、イギリス、イタリアの戦闘機の開発のための機構を設置する条約の批准等が行なわれました。

 安保三文書の具体化です。2024年の防衛白書もまさにその中身になっています。戦争のできる国から戦争をする国へ突き進んでいます。

 社民党は、多くのみなさんたちと力を合わせ、戦争を止めていきます。

 社民党は、1月に中国を訪問し、日本の国民と中国の国民は絶対に戦争してはならないと訴えました。また、7月には韓国を訪問し、北東アジアにおける平和の実現等についても各政党の幹部のみなさんと意見交換をしました。

 第二次世界大戦中にアジアへの侵略を行った日本だからこそ、アジアで絶対に戦争してはなりません。

 アジアのどこも、そして沖縄南西諸島のどこも、日本全土も戦場にしてはなりません。

 憲法破壊だけではありません。自民党の憲法改正実現本部は、8月7日、2つのワーキングチームを設け、緊急事態条項の条文化と憲法9条に自衛隊を明記する論点整理をすることを決めました。

 緊急事態条項は、戒厳令であり、内閣に権限を集中させ、唯一の立法機関である国会を停止させるものです。また、国会議員任期延長とは、参議院の緊急集会があるにもかかわらず、国会議員の居座りを許し、選挙を停止させるものです。政治を変えようとする国民の選挙権を踏みにじるものです。

 憲法9条の自衛隊の明記とは、集団的自衛権の行使をする、戦争する自衛隊の明記です。まさに、世界で自衛隊が戦争できるようにするようにし、戦争するときに、緊急事態条項を発動させ、戦争をやめさせるために、国会を、政府を変えようとする国民の権利をあらかじめ封じるものです。

 憲法改悪をさせてはなりません。戦争をしてはなりません。

 日本国憲法は、たくさんの犠牲を払い、私たちが獲得したものであり、戦争しないということは日本の、日本国民の世界に対する約束です。

 今まさに戦争の準備ではなく、平和外交、平和の構築こそ必要です。

 政治の転換が必要です。

 「平和と平等は手を携えてやってくる」という言葉は、私の大好きな言葉です。この反対は、「戦争と差別・排外主義が手を携えてやってくる」ということです。戦争する国にならないために、個人の尊重、法の下の平等、ジェンダー平等、表現の自由を始めとした基本的人権の尊重と民主主義が本当に実現される社会を作らなければなりません。

 基本的人権の尊重と、まさに民主主義の力によって戦争する国を変えていかなければなりません。

 戦没者のみなさん、戦争被害者のみなさん、どうか私たちの行動を見守っていてください。

 社民党は、立憲野党のみなさん、国民のみなさん、世界のみなさん、たくさんのみなさんと力を合わせ、憲法を守り、憲法を活かしていく、戦争させないと決意を申し上げ、私の心からの誓いの言葉といたします。

 

2024年8月15日

社民党党首 福島みずほ