社会新報

ガマンしないで制度を使う-伊是名夏子の弱音でつながる

(社会新報2021年3月31日号3面より)

 

社民党の常任幹事を務めさせていただくことになった伊是名夏子です。生まれも育ちも沖縄で、今は神奈川県川崎市に住んでいます。私は骨形成不全症という骨の折れやすい障害があり、電動車いすを使っていて、身長100cm、体重は20kgとコンパクトサイズです。パートナーと7歳と5歳の子どもがいる4人家族で、1日10時間、福祉サービス制度を使い、ヘルパーを利用しています。

 

 

制限ばかり多すぎる

私の使う制度、重度訪問介護は、同居人がいる場合は利用できない、もしくは利用できても制限がある場合が多いです。「障害のある人の介護は家族がするもの」という考えがあるからです。できる限り夫が介護することを求められ、夫が休みの週末はヘルパー利用に制限がかかります。ヘルパーは私と子ども2人のご飯を作ったり、洗濯物を干したり、部屋の掃除をしてもいいのですが、夫のご飯や洗濯はしてはいけないし、夫がリビングやトイレを使うなら、一切掃除もしてはダメなのです。私の場合は、夫が不規則な仕事でほとんど家にいなく、家が汚くなると、私と子どもの体調に影響が出てくるので、例外的に掃除も認めてもらっています。私が結婚したのは、夫に介助をしてもらうためではなく、対等なパートナーシップを歩むためなのに。まさしく現政権の自助、共助、家族の絆がベースになり、これからさらに強まるのではないかと、心配でたまりません。
そしてこのヘルパー制度は、通学、通勤、就労では認められません。障害のある子が学校に通いたくても、通う学校がサポートする人を手配するか、親が介助するしかありません。また通勤や仕事中もヘルパー利用が認められないので、働ける障害者は少ないままです。制限ばかりの厳しいこの制度のあり方は、生活保護などにもつながるものがあります。制度を使うと、自分が尊重されている感じがせず、後ろめたい思いを持ちながら我慢し続ける。それを私はなくしていきたいです。

 

全ての人とつながる

障害のある人が暮らしやすい場所は、障害のない人にとっても、子どもにとっても、高齢者にとっても暮らしやすい場所でしょう。だって、赤ちゃんは生まれた時は話すことも、ご飯を食べることも、排せつもできません。それは時に重度障害者と同じです。みんな障害者のように生まれ、加齢に伴って障害者の状態に戻っていく。だからこそ、障害のある人の暮らしやすさはすべての人につながります。それを実現する政策をつくっていきたいです。

 

■いぜな・なつこ  1982年、沖縄県生まれ。コラムニスト。神奈川県在住。東京新聞などで連載中。骨の折れやすい障害で電動車いすを使い、ヘルパーに支えられながら2人の子育てをこなす。早稲田大学卒業、香川大学大学院修了。米国、デンマークに留学。著書に『ママは身長100㎝』。社民党全国代表者会議で党常任幹事に就任。