(社会新報3月1日号より)
社会民主党は向こう1年間の運動方針などを決める第13回全国代表者会議を2月18日、東京・千代田区内で開いた。会議にはオンライン参加を含め代表委員69人や常任幹事、会計監査など約90人が出席した。4月の統一自治体選で公認55人・推薦82人の計137人全員の当選に総力を尽くす方針をあらためて決定するとともに、岸田政権が進める大軍拡大増税・原発推進回帰の政策と対決していく決意を固め合った。次期衆院選で比例得票率2%と4議席を目標とした。最後に統一自治体選挙の必勝を目指す特別決議など3本の決議を採択して終了した。
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冒頭、仮議長の大椿ゆうこ副党首が開会あいさつを行ない、「昨年夏の参院選は何が欠けても政党要件の確保は難しかったが、党員や支持者の皆さんの力で確保できた」とお互いの健闘を確認した。その上で、「『合流』問題で党から離れる党員や議員も出たが、統一自治体選で増やしていこう」と力強く呼びかけた。
そして運営委員会で議長に村山弘行代表委員(九州ブロック・福岡県連)、運営委員長に久保孝喜代表委員(東北ブロック・岩手県連)が選出されたことを報告した。
福島みずほ党首があいさつし、昨年の参院選で公選法上の政党要件である得票率2%以上を死守したことを振り返りながら、「国会に社民党があって良かったと日々感じている。社民党、新社会党、緑の党の皆さんが本当に頑張っていただき、結果を出すことができた。心から感謝を申し上げたい」と謝意を述べた。
そして、昨年7月の参院選以降に実施された中間自治体議員選に党の公認・推薦候補が18自治体で20人が立候補し、18人が当選したことに触れ、「岩手・花巻市で公認3人が当選したほか、青森市や千葉・松戸市などで空白を解消。沖縄・豊見城市でも当選した」と奮闘したことを報告、「統一自治体選で党公認・推薦候補者全員の当選を勝ちとろう」と訴えた。
地域から命と暮らしを立て直す
党首は、全国党員の日ごろからの活動に触れ、「地べたをはうような長い運動を続けている。その社民党だからこそシャープにさまざまな政策を提起できる。社民党は日本の政治に必要だ」と強調した。その上で、「平和政策や脱原発・自然エネルギー促進でとことん頑張り、社民主義をしっかりと主張し、ジェンダー平等と多様性ある社会を目指して頑張る社民党の自治体議員が全国の議会に本当に必要だ。統一自治体選で全員当選を果たし、党を立て直し、地域から命と暮らしを立て直したい」と訴えた。
また、党首は、小説家の中島京子さんが夕刊紙で、安保3文書改定を強行した岸田首相を「安倍がつき菅がこねし戦争餅を、何も考えずに食うがごとき態度」と痛烈に批判したことを紹介し、「この10年間、厳しい法制が次々に成立した。秘密保護法、安保法制、共謀罪、重要土地規制法、その総仕上げとして安保3文書改定関連の2法案や日本学術会議法改正案が出てくる」と危機感を表明した。
敵基地攻撃能力(反撃能力)保有に関し「存立危機事態となれば集団的自衛権行使で敵基地攻撃が可能と政府が認めている。事実上の先制攻撃」とし、「沖縄を含む南西諸島、日本全土が戦禍に見舞われる。何としても避けたい」と訴えた。
軍事工場国有化ノー
今通常国会に提出された安保3文書改定関連の防衛財源確保法案について「23年度から5年間で43兆円の防衛予算を捻出するための強化資金として23年度の予算案に3兆円以上が組み込まれている。予算の単年度主義を壊している。財政制度の軍事化が進んでいる。あり得ない話だ」と厳しく批判した。もう一つの関連法案の防衛産業強化法案については、「経営的に成り立たない軍事工場を国有化するという内容。コモン(公共)とは真逆。憲法9条を持つ国のやることではない」と酷評。その上で党スローガン「がんこに平和 暮らしが一番 戦争はさせない」の実現を目指すと訴えた。
「40年ルール」見直しを許さない
さらに、党首は、岸田内閣が2月10日に閣議決定したGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針の関連法案について、「2012年成立の法律では原発は原則40年で廃炉し、例外的に1回だけ20年延ばせる。今回の法案は経産省がゴーサインを出せば60年超まで稼働できる。40年ルールを変えてはならない」と強調した。
【服部幹事長との質疑答弁】全国の代表委員と執行部が活発な論議を交わす
議事ではまず、服部良一幹事長ら執行部から幹事長報告や参院選闘争総括などの報告案件が提案された。
これに対して5人の代表委員が、▽福井県連の再結成▽空白だった青森市での議席回復、党と大衆運動の連携の強化▽農業の危機的な現状▽次回参院選に向けた展望と野党共闘の担い手としての党の存在▽ウクライナ戦争の評価-ーなどについて発言した。
服部幹事長は、▽福井県連が再結成にこぎ着けたことに感謝と敬意▽党と大衆運動の連携は重要▽3年後の参院選では党の政策、イメージに合う候補者を擁立したい▽野党共闘の枠組みは堅持していく▽ロシアによるウクライナ侵略は許せないが、戦争が勃発した背景があることは事実ーーなどと答弁した。
さらに統一自治体選挙方針や当面の活動計画について服部幹事長らが提案し、質疑が行なわれた。
10人の代表委員が、▽インボイス制度やマイナンバーなどへの対応▽各県連と全国連合の意思疎通を円滑に▽他の野党との政策の差別化を。消費税は廃止を目指すべき▽日本社会は崩壊状況にあり、賃上げを柱に経済の仕組みを変えることを訴えるべき▽ブロック内に女性議員がいなかったが、今回は2人が決意してくれた。増やそう▽介護施設の現状はコロナの感染もあり、深刻▽AV新法に党は賛成したが、反対すべきだった。一般党員も参加したプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、議論を▽私1人を除いて議員は立憲に「合流」した。後悔はなく、社会新報の拡大で成果を上げているーーなどの発言があった。
服部幹事長は、▽インボイス制度など当事者の声を聞き、連携し対応したい▽党の政策である「消費税3年間ゼロ」を実施できたら、税制全体の議論になる。消費税の総額は内部留保の約4%に相当し、引き続き税制改革の議論をしたい▽資本主義、とりわけ新自由主義が明らかに限界に達している▽介護保険の改悪案が今秋の臨時国会に上程される可能性があり、反対していく▽AV新法の不十分性は承知している。反差別・多様性社会実現PTや政策審議会学習会など、党員参加の議論の場はつくりたいーーと答弁した。
いずれの報告案件、議案も満場一致で採択された。
会議は新垣邦男副党首(衆院議員)が閉会のあいさつを述べた後、福島党首の発声で統一自治体議員選挙勝利への決意を込めて「団結がんばろう」を三唱し、閉会した。
統一自治体選必勝・軍拡大増税を糾弾・原発回帰政策の撤回~3つの決議を満場一致で採択
全国代表者会議では以下の3決議を満場一致で採択した。
①敵基地攻撃能力保有をはじめとする違憲の軍拡大増税政策を糾弾する決議②岸田政権による原子力政策大転換の撤回を求める決議③第20回統一自治体選挙の必勝を目指す特別決議。
①の決議では「軍拡競争を止め、平和憲法の理念の下、外交で平和を構築する」と訴え、「安保3文書に基づく軍拡増税政策に反対し、関連法案の廃案を目指し、働く人や市民と共に国会内外で粘り強く闘っていくことを宣言する」とした。
②の決議では、2月10日に閣議決定したGX(グリーントランスフォーメーション)基本方針を原発回帰政策であると厳しく批判した上で、「岸田内閣は原子力政策の転換を直ちに撤回し、今国会での関連法案の上程を断念すべきである」と訴えている。
③の特別決議では、「地域から戦争への道を阻止し、いのち輝くまちづくりを進めるため、候補者全員の勝利を目指して戦い抜くとともに党の再生を目指して奮励努力する」と強調した。
脱原発運動に全力~5年ぶりに脱原発・脱プルトニウム全国協議会総会を開催
全国代表者会議に引き続き、党脱原発・脱プルトニウム全国連絡協議会第3回総会が5年ぶりに開催された。25人が参加した。
冒頭、高橋新一会長が柏崎刈羽原発の動きなどを述べ、「原発安全神話」を厳しく批判した。続いて福島党首が「脱原発政策は党の中心的課題である」と強調し、激励の言葉を述べた。
総会は、渡辺英明座長(全国連合組織団体局長)が進行を務めた。佐藤龍彦事務局長が「原発推進への回帰方針は戦時体制の準備と軌を一にしている」と指摘した上で、この間の経過報告や活動方針などについて提起。脱原発運動を全国連合と協議会が一体となって推進することを確認した。
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