社会新報

注目のジャーナリスト・鈴木エイトさんが指摘~統一教会と自民党のもたれ合いの深淵

3000日以上にわたり自民党と統一教会の問題を追ってきた鈴木エイトさんが語った(10月24日、参院議員会館)

 

(社会新報11月9日号1面)

 

 統一教会問題を追っているジャーナリストとして、注目される鈴木エイトさんが10月24日、参院議員会館で講演した。主催は、「安倍『国葬』やめろ! 実行委員会」。鈴木さんは、統一教会による被害を政治家が拡大させたことを強調した。
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 鈴木さんは「警察は2009年に、統一教会の東京本部に強制捜査を行なうと直前まで言っていた」と語り、それが政治の介入で止められた経緯を解説する。
 「07年から10年にかけて、全国の霊感商法が摘発を受けていた。統一教会も南東京教区事務所や、渋谷、豪徳寺の教会が強制捜査を受けていた。次は東京本部だというところで捜査が打ち切られた。(警察官僚OBで閣僚経験者の)K氏に統一教会が泣きつき、捜査を止めさせたという情報がある。東京本部の人間が刑事事件で摘発されていれば、もっと早く解散請求が行なわれたはずだ」
 その後も年間数百億円というお金が日本から韓国へ流れたが、「09年以降、統一教会に対し警察の捜査は一切行なわれていない」「コンプライアンス改革を実施したとする09年以降の方が、献金額が増えている」と鈴木さんは言う。その原因として、鈴木さんは「統一教会の内部資料を見ると、第2次安倍政権の発足と統一教会との関係が、かなり影響があるのではないか」と指摘する。

安倍氏が組織票を依頼

 「13年の参院選では、北村経夫さんという当時の産経新聞の政治部長だった人が参院選に比例で出馬することになった。彼は安倍元首相にとって肝いりの候補だったが、当選が危ぶまれていた。この時、全国の統一教会の事務所に送信されたファックスを入手したが、そこには『次の国会に当法人を追及する動きがあるとの情報があり、北村候補が当選するか否かは、当法人の死活問題。首相直々に北村候補を当選させてほしいとの依頼があった』と書いてあった。この首相とは安倍さんを指している。首相が組織票を統一教会に依頼したという文書だ」

第4次安倍内閣は「カルト内閣」

 その後も安倍政権と統一教会の関係は深まっていったと鈴木さんは語る。
 「17年の第4次安倍内閣はひどくて、全閣僚が統一教会との関係がある人、明らかに統一教会との関係で貢献した人が抜擢(ばってき)された、カルト内閣だった。その傾向が菅内閣に引き継がれて、警察組織をつかさどるトップである国家公安委員長に統一教会との関係を持つ人がずっと続いた。小此木八郎さんとか、山谷えり子さんだとか、武田良太さんだとか。最近だと、二之湯智さん。去年の9月には安倍元首相が統一教会のフロント団体であるUPFが韓国で行なった国際イベントにビデオメッセージを送った。これは衝撃的だった。それまでは、統一教会側もイベントに参加した政治家の個人名は公表してこなかった。基本的にはお互い関係性は隠していたのだけど、ついに隠そうともしなくなった。それを問題視するメディアも少なかった。大手新聞や大手テレビは一切無視した。安倍元首相は統一教会との関係が世界中に拡散されても、自分の政治生命に影響がないと踏んだのだろうし、実際そうだった。最近、信者2世に話を聞くと、山上容疑者がしたようなことが起きると、以前から危惧していたのだという。金銭被害に加え、合同結婚式で韓国に嫁がされてしまった女性たち、家庭が崩壊した人々の苦しみはなぜ続いたか。この10年間で、安倍元首相の存在はかなり大きかったのではないか」

「安倍国葬」悪用を監視

 鈴木さんは「安倍元首相は国葬に値しない」と断言し、「逆に統一教会側は国葬されるような偉大な人物が自分たちを応援してきたということにも利用されてしまう可能性もある」と懸念し、「今後、国葬をどのように統一教会が利用するか監視していく必要がある。統一教会と政治家の関係はきっちり検証していくべきだ」と述べた。
 集会では、鈴木さんの友人であるジャーナリストの浅野健一さんも発言。「真実を伝えるジャーナリストを応援すべきだ」と訴えた。評論家の佐高信さんも「統一教会問題の背景には、創価学会の政党である公明党が政権入りしたことが大きいのでは」と指摘。政治が私物化されるなかで、「公を取り返すことが必要だ」と述べた。主催者からは、柳田真さんが「細田衆院議長を追及しよう」と、自民党と統一教会の関係のさらなる追及を訴えた。