社会新報

【主張】底なしの「五輪マネー」~電通と五輪の闇 徹底解明を求める

(社会新報8月31日号3面より)

 

 「平和の祭典」が腐敗の巣と化した。東京地検特捜部は8月17日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事を受託収賄容疑で逮捕した。大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス側から高橋容疑者が計5100万円の現金を受け取った疑いだ。一方、贈賄容疑でAOKI側の青木拡憲前会長ら3人が同日、逮捕された。

 組織委の役職員は法律上では「みなし公務員」とされ、職務に関して金品を受け取れば収賄罪に問われる。

 高橋元理事はAOKI側に依頼され、スポンサーになれるよう便宜を図ったり、AOKI側が販売する公式ライセンス商品の承認を急がせたりした疑いなどが持たれている。

 五輪組織委には大手広告会社の電通の社員150人近くが出向し、スポンサー選定の実務を担い、公式ライセンス商品の審査などを担当する組織委のマーケティング局を事実上、牛耳っている。電通支配の構造だ。

 高橋容疑者は1967年に電通に入社し、2011年まで電通に在籍し、専務や顧問を歴任。日本のスポーツビジネスの第一人者として広く知られ、東京オリンピック・パラリンピックの招致では招致委員会のスペシャルアドバイザーを務め、IOC(国際オリンピック委員会)の委員に対するロビー活動などを担い、「招致のキーマン」ともささやかれた。14年6月から東京大会の組織委の理事に就任していた。電通OBとして絶大な影響力を持つ高橋容疑者が、電通と組織委の裏側で利権の調整役として暗躍したと指摘される。

 5100万円とは別の疑惑も浮上している。AOKI側はスポンサー契約に伴い、選手強化費の名目で電通の子会社に2億5000万円を支払った。そのうちの約1億5000万円が高橋容疑者の会社に渡り、かなりの割合で借金の返済などに充当されていた。

 東京オリ・パラ大会には国や東京都が多額の費用を負担し、組織委運営の透明性が求められているが、情報開示には背を向けてきた。

 組織委は自らの手で調査し、説明する責任があるはずだ。

 2030年冬季大会に札幌市が招致を求め立候補している。開催都市は年内に絞り込まれる見込みだが、事件の徹底解明と不正防止策を抜きに招致を進めることはあってはならない。

 底なしの「五輪マネー」の徹底解明を求める。