(社会新報10月17日号2面より)
袴田事件の再審無罪判決が9日、検察側の控訴断念により確定した。
控訴期限の10日を前に「袴田さんの無罪確定を求める緊急集会」が2日、衆院第一議員会館で行なわれ、約100人が参加した。
この集会は、検察がもし控訴した場合、法相が指揮権を発動して検事総長に控訴取り下げをさせ、無罪を確定させようと開かれた。
初めに、袴田巌死刑囚救援議員連盟事務局長の鈴木貴子衆院議員が、「午前中に袴田ひで子さんと弁護団、超党派の救援議員連盟で牧原法相に直接面会して、控訴断念の要請を行なおうとしたが会わせてくれない。抗議をしたところ、やっと官房長や事務次官が話を聞いてくれた」と報告した。
同議連の社民党党首の福島みずほ参院議員は、「今回の無罪判決は本当にうれしかった。袴田巌さんとひで子さんの長年の頑張りに心からエールを送りたい。再審法改正も含めて、えん罪をなくすために頑張りたい」と述べた。
袴田さんの姉・ひで子さんがあいさつ。「巌が報告会で『ありがとう』と言ったのには驚いた。これは獄中でいつか言える日が来るよう考えていた言葉だったと思う。支援していただいた全ての皆さまに、感謝を申し上げたい」と述べた。
2014年の静岡地裁で再審開始を決定した村山浩昭元裁判長は、「事件発生より58年、死刑判決から56年、そして第1次再審請求から43年。こんなに長いのは法の不備であり、欠陥だ。これで控訴をしたら検察は世間から指弾されるだろう」と語った。袴田事件弁護団の角替清美弁護士は、「裁判長から再審裁判が長くなったと謝罪はあったが、判決文にはない。法務省に任せている限り再審法改正はできない。国会議員をはじめ皆さんの協力が必要」と支援を呼びかけた。