社会新報

【社民党訪中団】日中関係の改善へ平和外交~福島党首が王政治局常務委員と会談

中国共産党序列4位の王滬寧・政治局常務委員(右)と握手する福島党首(1月19日、北京の人民大会堂)。

王滬寧・政治局常務委員。

福島党首は、ビザの緩和措置や拘束された邦人の早期釈放を訴えた。

 

(社会新報2月1日号1面より)

 

 社民党は1月18日から20日まで、中国共産党との党間交流として10年ぶりに第8次訪中団を派遣した。訪中団は、福島みずほ党首を団長、新垣邦男副党首を副団長、大椿ゆうこ副党首を秘書長として計7人で構成した(次号に続報を掲載予定)。

能登犠牲者に哀悼の意

 福島党首は訪中2日目の1月19日午後、北京市の人民大会堂で中国共産党序列4位の王滬寧政治局常務委員との政治会談に臨んだ。
 冒頭、王氏から能登半島地震の犠牲者への哀悼の意とお見舞いの言葉が述べられた。これに対し、福島党首は謝意を語った。
 福島党首は訪中の目的について、「日中両国の平和と友好を確認すること。日本の国民と中国の国民が絶対に戦争をしてはならない。そのために社民党は全力を挙げる」と決意を語った。党首は過去の日本軍国主義による中国侵略を謝罪した上で、「2015年に成立した安保関連法・戦争法に反対だ。集団的自衛権行使も安保3文書も敵基地攻撃能力保有も、日本国憲法に明確に反している。経済活動を規制する経済安保法に反対だ」と強調した。
 王氏は「社民党がアジア侵略戦争を謝罪した村山首相談話の精神を継承していることを大変うれしく思っている。われわれはこうした正しい立場と誠意と信義を守り、互いの核心的利益を尊重しなければならない」と強調した。
 福島党首と王氏は、昨年11月にサンフランシスコで習近平国家主席と岸田首相が会談し戦略的互恵関係を再確認した情勢を踏まえて、両国間と両党間で日中関係改善に向けて友好交流を拡大していくことを確認した。

 王氏は台湾問題について「これは中国の核心的利益の中の核心である。社民党が長年にわたり(1972年の中日共同声明などの4つの政治文書に基づき)正しい立場を堅持していることに感謝する」と述べた。

ビザ緩和で手応え

 福島党首は日本人に対するビザの緩和措置を要望した。王氏は「外交ビザと公務ビザが緩和の選択肢となるだろうが、日本政府も相応の努力をしてほしい」と具体的に言及した。

拘束された邦人の早期釈放を訴え

 さらに、福島党首は中国で拘束されているアステラス製薬社員など5人の早期釈放を訴えた。王氏は「法にのっとってやっている」と述べるにとどまった。
 このほか、東京電力福島第1原子力発電所の処理汚染水の海洋放出について、王氏が「中国14億人が懸念している。日本政府は責任ある対応を」と強調した。
 また、福島党首は同日午前、北京市内で中国共産党中央対外連絡部の劉建超部長とも会談した。劉部長は「中日関係は立て直して再出発する重要な時期に直面している。4つの政治文書の原則を厳守し、両国関係のプラスを増やし、マイナスを抑えて、中日関係を構築すべきだ」と指摘した。

中国共産党中央対外連絡部の劉建超部長(右)と握手する福島党首(同日、北京)。

 

抗日戦争記念館で献花

 訪中団は初日の1月18日、北京郊外の盧溝橋のほとりにある中国人民抗日戦争記念館を訪れ、献花した後、福島みずほ党首が「日中不再戦の誓い」のスピーチを行なった。内容は次のとおり。
 「私たちは今、厳粛な思いでここ盧溝橋に立っています。87年前の1937年7月7日、当時、日本軍は意図的に軍事衝突を引き起こし、全面的な中国侵略戦争を開始しました。その結果、2000万以上といわれる中国人民を虐殺し、国土を破壊し、甚大なる被害を与えました。日本が引き起こした侵略戦争の犠牲になられた方々やそのご家族の皆様に、ここにあらためて心よりおわび申し上げます」。その上で、「日本の国民と中国の国民は絶対に戦争をしてはなりません」と強調した。「敵基地攻撃能力保有を認める安保3文書は日本国憲法に反します。戦争の準備ではなく平和の構築をすべきです」と訴えた。そして「2度と戦争しないと決めた日本国憲法は、世界に対する、アジアに対する約束であり宣言です。社民党は、憲法改悪をさせず、憲法を活(い)かしていく政治を、全力でやっていきます」と決意を語った。

 

北京郊外の中国人民抗日戦争記念館で献花した党訪中団。右から新垣副党首、福島党首、大椿副党首(18日)。