
ラサール石井副党首は「人間にファーストもセカンドもない」と訴えた。(10月30日、東京・文京区)

鳥井一平さん

辛淑玉さん

諏訪哲也さん
日本で外国人に対する差別と排外主義が広がる中、共同テーブルが主催するシンポジウム「ファーストとは何か? 多文化共生、ジェンダー平等の社会をめざして 私たちはヘイトを許さない」が10月30日、東京・文京区の文京区民センターで行なわれた。約130人が参加した。
ヘイトが公然化
共同テーブルの発起人代表で評論家の佐高信さんは開会あいさつで、「戦争は差別から始まる」と述べ、排外主義に懸念を示した。
第1部で、「日本社会での『ファースト』とは?」について2人が講演した。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」共同代表理事の鳥井一平さんは、「近年、選挙に名を借りたヘイト(差別扇動)が公然化している」と警鐘を鳴らした。
特に今年の参院選では、参政党が「日本人ファースト」を主張するなど、支持者を含めてヘイト的な言動が急増したという。
埼玉県川口市でのヘイトグループによるクルド人に対する攻撃的な言動の実態も示し、「彼らの主張には全く根拠がなく、うそばかりだ」と指摘した。
その上で、「外国人問題は私たちの民主主義を問うている」と語った。
「日本人以外」を排除
「のりこえねっと」共同代表で在日朝鮮人3世の辛淑玉さんは、今年に入り自身の事務所の看板が何者かに壊された経験を引いて、「こうしたことは日常茶飯事だ。警察には届け出たが、記者会見はしていない。反抗すれば、余計にやられる。記者会見をした後が一番きつい」と語った。
上映された動画の中で、参政党の選挙演説に集まったうちの一人が抗議者に対し、「お前、何人だ?」「10円50銭と言ってみろ」と詰問する場面があった。
関東大震災時の朝鮮人虐殺の際、朝鮮人を選別するために使われた「15円50銭」のことを指しているのだろう。
辛さんは、朝鮮人虐殺の経験から祖母が生涯抱き続けた「恐怖と心の傷」の話をした。
その上で、「『日本人ファースト』とは、『日本人以外』と設定された人には何をしてもいいということだ」と指摘した。
広がる排外主義
第2部では、「なぜ極右政党が支持を伸ばしたか」について2人が話をした。
最初に、『沖縄タイムス』記者の又吉俊充さんがオンラインで沖縄の状況について話をした。
又吉さんは、今夏の参院選沖縄選挙区(改選数1)で参政党候補者が得票数を伸ばしたこと、共同通信の出口調査で同党が10代・20代・30代の若い世代でいずれも4割程度の支持を得ていたことを示し、「参政党が消費税廃止を含む物価高対策を最も強く訴え、外国人問題やスパイ防止法についても自民党より強く訴えたことで、支持を広げたようだ」と語った。
交通ユニオンの諏訪哲也書記長は、群馬県内でのブラジル人など外国人に対する差別的な雇用状況などについて語った。
また、今夏の参院選群馬選挙区(改選数1)で参政党候補者が自民党候補者に肉薄したことを指摘し、「参政党が無党派層の受け皿になっている。ファクトチェックを強めなければならない」と注意を促した。
「ファースト」の欺瞞
第3部では、社民党副党首のラサール石井参院議員が話をした。
ラサール議員が「『日本人ファースト』は明らかに差別だ。人間にはファーストもセカンドもない。差別が増えていくと、『あの国の人は殺してもいい』ということになる。それが戦争でしょ」と訴えると、会場から大きな拍手が湧いた。
閉会あいさつで、共同テープル発起人の杉浦ひとみ弁護士は、鳥井さんが講演の中で語った「外国の人がなぜ日本に来るかといえば、平和で安全だから」という言葉を受けて、「それは私たちの誇るべきことだ。私たちが守るべきは、『戦争しない、平和な日本』だ」と締めくくった。