迫る憲法の危機に立ち向かう~参院選どう戦うか 共同テーブル大討論集会~
(社会新報2022年4月27日号1面より)
4月13日、東京・港区内で、リベラル政治勢力を支援する識者団体「共同テーブル」の主催する第2回大討論集会が開催された。テーマは「迫る憲法の危機~参院選をどう闘うか」。オンラインを含めて200人が参加した。
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司会を共同テーブルの杉浦ひとみ弁護士と白石孝・官製ワーキングプア研究会理事長が務めた。
評論家の佐高信さんが主催者を代表してあいさつし、「ウクライナと日本国憲法には深い関係がある。両親がウクライナ出身で、日本で育ったベアテ・シロタ・ゴードンさんは日本国憲法の人権と男女平等思想の起草に携わった。憲法を守るということはウクライナへの連帯を意味する」と語った。
素朴な平和主義貫け
続いて、上智大学教授の中野晃一さんが「憲法の危機に参院選でどう立ち向かうのか」をテーマに基調講演を行なった。
中野さんはロシアによるウクライナ侵略に触れて、「相互の武力のエスカレートが何をもたらすかは明らかだ。武力を高めれば安全ではなく戦争を招くことになる。私たちは素朴な平和主義で行くべきだ。武力削減と主張するとお花畑だと批判されるが、武力主義者がもたらすのは焼け野原だ。焼け野原よりお花畑の方がいいではないか。今は武力主義者に対して反転攻勢の時だ」と述べた。
そして「2015年の安保法制強行の時、国会周辺にあれだけの人が立ちあがった。焼けぼっくいに火を付けよう。改憲がかかる参院選では負けるわけにはいかない。武力主義への批判を外に広げていこう」と運動の強化を呼びかけた。
続いて、和光大学名誉教授の竹信三恵子さん、沖縄平和運動センター顧問の山城博治さん、山口大名誉教授の纐纈厚さん、東京造形大名誉教授の前田朗さんの4人がパネルディスカッション。竹信さんは「9条を使って戦争をしないから、防衛費がかからない。国の富のお金を国民の豊かさに使う。憲法の流れが見えてくると野党頑張れにつながる」と語り、山城さんは「核兵器を持ち込み、嘉手納弾薬庫は危険だ。沖縄の実情は待ったなしに戦火の恐怖に包まれている」と訴えた。纐纈さんは「自衛隊の活用などダメだ。攻めない、攻められないこと。だから9条が必要。9条の活用が一番である。攻められたら終わりだ」と呼びかけ、前田さんは「1946年の日本国憲法の前文の平和的生存権と9条の平和主義。その中身を支える平和主義思想を、1946年のままでなくて、2022年の私たちの平和思想で補わなければいけない」と指摘した。
比例代表4人が決意
次に、参院選比例代表を戦う福島みずほ社民党党首、大椿ゆうこ副党首、おかざき彩子・新社会党青年女性委員会代表、村田しゅんいち・社民党共生政策運動委員長がそれぞれ戦う決意を表明した。
福島党首が、「今日の参院憲法審査会では緊急時のオンライン国会審議について議論があったが、現憲法でオンライン国会は可能だ。しかし、自民党議員は『改憲だ改憲だ』と繰り返すだけ。そんな自民党に負けられない。自民党は防衛費のGDP比2%超に増やすことに躍起になっている。新自由主義は労働者、市民の生活を破壊している。今こそ社会民主主義への転換が必要だ。社民党は必勝を目指して頑張る」と決意を表明した。
大椿副党首は「私は就職氷河期時代に社会に出た。解雇された経験があり、労働運動と出会い、闘った。私のスローガンは『労働者の切り捨てを許さない』だ。格差貧困、雇用の問題を訴え続ける。私の強みは『労働運動が無ければ非正規は生きていけない』ことを説得力を持って訴えていくこと」と力を込めた。
新社会党のおかざきさんは、「私は生きづらく引きこもっていた時期もあった。ハローワークに通い、仕事を探しても、非正規雇用しかなかった。パワハラ、モラハラも経験した。私が経験したロストジェネレーションの時代が、今も何も変わっていない。新自由主義の下で勝ち組になれという社会の雰囲気、価値観を変えていかなければならない」と述べた。
村田しゅんいちさんは、「昨年11月に青森でトランスジェンダーの人権と尊厳を訴えるトランスマーチが開かれ、500人も集まり、勇気が湧いた。多様性の素晴らしさを実感した。皆さんもどこか一つくらいはマイノリティの部分をお持ちだと思う。それが『あなたらしさ』になる。それぞれ個性を持ち合って、憲法を守るために参院選で勝利しよう」と力強く訴えた。
↑あいさつする福島みずほ党首(中央)。
↑右から大椿ゆうこ副党首、おかざき彩子さん、村田しゅんいちさん(13日、東京・港区内)。
↑佐高信さん
↑中野晃一さん
↑右から竹信さん、山城さん、纐纈さん、前田さん。
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