社会新報

九州5人衆が語る-現場から変えるって楽しい!-

(社会新報2021年7月28日号1面より)

 

社民党の福島みずほ党首と九州・沖縄ブロック衆院選予定候補5人が6月20日、オンラインで座談会を開いた。「九州5人衆が語る『現場から変えるって楽しい!』」のタイトルで熱く語った。

福島みずほ党首 来る衆議院選挙、九州・沖縄ブロックから立候補予定の皆さんに、社会や政治をどう変えるか、思いを語っていただきます。

 

国政転換へ熱い思い

竹うち信昭さん(福岡4区・社民党福岡県連合副代表) 35年間、福岡の県立高校教員をしていた。卒業即就職の実業高校に長く勤めたが、家庭の事情さえ許せば上級学校に進学したい生徒がほとんど。そうした境遇の子どもたちがコロナ禍で増えている。庶民の生活難の一方、大企業の内部留保は475兆円を超え、富裕層の金融資産も過去最高。貧困と格差の底なしの拡大という社会のゆがみ、富の偏在を正し、子や孫の世代に「生きていて、生まれてきてよかった」と思える社会を引き渡したい。

 

 

しき玲子さん(福岡11区) 私も高校の教員時代、奨学金を生活に充てざるを得ない家庭、給食がその日の貴重な栄養源であったり、学費や生活費を稼ぐアルバイトで疲れ果て、授業どころではない子どもたちを見てきた。退職後は地域の学習支援や託児の活動の中、去年、新型コロナで登校自粛となった子どもたちが、ストレスをため込む様子を肌で感じた。ストレスは親・保護者を巻き込み、育児放棄や虐待につながった。そんな深刻な状況に、政府は対応できていない。国連「子どもの権利条約」が掲げる「子どもの最善の利益」の保障へ、「子どもの権利基本法」制定など政治の仕切り直しが必要だ。

 

 

馬場こうせいさん(熊本3区・社民党熊本県連合幹事長) ごまかしやはぐらかしばかり、何らの誠意もない今の政権に心の底から義憤を感じる。新型コロナの感染拡大で、今こそ公助の出番なのに、自公政権は自助を強調し、国民に我慢を押しつけるだけ。熊本県は5年前に震災被害、昨年7月には南部地域中心の水害に襲われ、そこにコロナ禍だ。だからこそ、公助に責任を持つ、真っ当な政治への転換を急ぐべきと痛感している。

 

 

米永あつ子さん(鹿児島4区) 鹿屋の市議会議員だったが、誰もが平和に、安心して暮らし、働くという当たり前のことが、どんどん政治の隅へと追いやられ、強い者だけが生き残る社会に危機感を持った。思いを5本柱の主張に込めた。「コロナ禍だからこそ公助が必要」、「ストップ!格差・貧困」、「ジェンダー平等」、「馬毛島の軍事基地化反対」、「霧島、大隅、熊毛から、田舎力、地域力づくりを」。共感の輪を全力で広げる。

 

 

新垣クニオさん(沖縄2区) 北中城村の村長を4期務めた。6期18年、沖縄2区の議席を守り抜いた照屋寛徳先生の後を継ぐ責任の重さに迷いもあったが、チャレンジを決めた。沖縄2区は嘉手納や普天間の基地被害に苦しめられ、今も米軍による事件・事故が後を絶たない。ここの議席、どうあってもアメリカべったり、政府言いなりの自公勢力には譲れない。絶対に勝ち抜き、沖縄の思い、県民の願いを国政の場で訴える。

 

 

 

現場の課題ぶつける

福島 「答えは現場にある」。現場の課題、どう受け止めますか。

米永 鹿児島は農業県。最大の課題は1次産業をどう伸ばしていくか。日本全体のことを考えても、自前の食糧確保が一番の安全保障だ。カギは、小規模農家、林業・水産業の振興。EUのように、1次産業従事者の生活を国として保障する施策を拡充したい。

馬場 同感だ。県職員時代、農業改良普及員として農家に向き合い続けた。日本の農業は、常に工業発展の犠牲とされ、自由化政策による疲弊・混乱を強いられた。その結果が食糧自給率37%。輸入の途絶で6割、7割の人が餓死する。改善へ、家族経営や中山間地の農家を支える戸別補償制度の復活が課題だ。

しき 非正規雇用フォーラム福岡が10年を超えて活動する中、安上がりの労働力として女性がパート・アルバイトで働き、不況となればその女性が真っ先に解雇される状況を目の当たりにした。女性非正規の低賃金が重しになって、賃金全体を抑え込む構造もある。ここを変える。

竹うち GDPの6割から7割は個人消費。内需低迷からの脱却には賃金の引き上げ、それと消費税減税が必須だ。消費税が社会保障拡充のためというのはうそっぱち。法人税減税や軍事費拡大に使われている。徹底的に検証すべきだ。

新垣 本土復帰時にできた沖縄特別措置法の下、10年ごとに沖縄振興開発の予算が投じられてきたが、自民党内からは「もう振興策はいいのではないか、基地があるから沖縄は財政的に潤っている」という声も漏れ伝わる。これは歴史を知らない人間の言葉だ。沖縄の県民所得は全国最下位。中小企業が大部分の沖縄経済の下支えには特別措置法の延長が死活的に重要だ。

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