社会新報

事件多発のマイナカード~健康保険証廃止の撤回を~福島党首が参院本会議でただす

参院本会議で代表質問を行なう福島党首。上は尾辻秀久議長。(5月15日)

 

(社会新報5月30日号2面より)

 

 社民党党首の福島みずほ参院議員(会派=立憲民主・社民)は15日、参院本会議で「デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」に関する代表質問を行なった。
 冒頭、福島党首は、自民党の市議がマイナンバーカードを偽造され、何者かによってスマートフォンの機種変更や高級時計購入といった被害を受けた事件を挙げ、「こうした詐欺事件数について警察庁もデジタル庁も把握していないのは無責任だ」として、た。
 また党首は、マイナカードは個人情報のひも付けの誤りなどを引き起こすとして、健康保険証廃止反対の声が増すばかりであるにもかかわらず強行するのは「人に優しいデジタル化」ではないと厳しく批判。国は少子高齢化に対する切り札という名目で地方公務員を減らし、官民の情報を集めて民間の金もうけのためにデジタル化を推進したいのではないかと追及した。
 そして、そもそも手段にすぎないデジタル化なのに、それ自体を目的化してマイナポイント事業に1・8兆円も多額の税金をつぎ込む無駄使いを指摘し、「失敗を繰り返さず建設的な政策に転換すべき」と提案した。
 さらに、同法案では、電子証明書の他に新たに券面記載事項もスマートフォンに搭載可能とされることが盛り込まれたが、福島党首は、スマートフォンを紛失した場合の危険性に加え、シリアル番号をIDとして利用拡大していくことへの規制の不十分、マイナカード紛失時の再発行時の身元確認の困難さを指摘し、プライバシー侵害の危険性をどう規制するのかと河野太郎デジタル相に鋭く迫った。
 最後に、国民の願いとは逆にマイナ保険証への一本化を強行して従来の健康保険証を廃止することは、国会質疑の形骸化、ひいては国会軽視になると批判した。
 これに対して河野デジタル相は、対策の遅れへの弁明に努めつつ、今後も「人に優しいデジタル化社会」実現の取り組みを進める、金もうけのためではないと苦しい答弁に終始。武見敬三厚労相も、健康保険証の廃止について、「昨年にマイナンバー法改正が成立しているため国会軽視ではない」と、法案の内容に踏み込まない答弁にとどまった。