社会新報

【マイナ保険証】12月2日以降はどうする~あわてず5つの対処方法

医療機関の窓口に設置されたマイナ保険証の読み取り機。(PIXTA)

 

(社会新報11月28日号1面より)

 

 12月2日より、国民の不安を払拭(ふっしょく)できないまま、現行の健康保険証の新規発行が停止し、マイナ保険証に一本化される。しかし、自治体や医療機関では混乱が続いており、現行保険証の廃止撤回、マイナ保険証との併用を重ねて求めていく必要がある。
 本稿では健康保険証の利用者が12月2日以降にできる対処方法を述べたい。
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 まずは、マイナ保険証導入の経過を簡単に解説してみたい。
 2023年4月に、やむを得ない事情がある医療機関、薬局を除いて、オンライン資格確認等システムの導入が義務化された。
 オンライン資格確認とは、医療機関と薬局のレセプト(診療報酬明細書)のオンライン請求の際のネットワークを介して、患者の保険資格をリアルタイムに確認できるサービスシステムだ。その導入前は、患者の健康保険証の氏名や性別、生年月日、保険者番号などを入力し、その後も毎月1回程度の割合で内容に変更が無いか確認する必要があった。
 それが軽減されるとして、マイナンバーカードに「ひもづけされた」マイナ保険証の利用が推奨され、カードリーダーも9割を超える医療機関や薬局の受付に設置されるようになったのである。

トラブルと低利用率

   ただ、その際に読み取りがなかなかできないことに加え、マイナ保険証は税金や年金に関する手続きや情報取得にも利用ができるため、機密情報を取り扱うイメージが強く、持ち歩くことへの抵抗感や、無くした場合の個人情報の漏えいへの心配、そして、毎回いちいちマイナ保険証を提示する面倒が嫌われている。
 そのため、2024年1月の利用率が4・60%だったことにあわてた政府が、マイナ保険証の利用を呼びかける大々的な広告キャンペーンを行なったものの、今年9月時点でも、利用率は、わずか13・87%にとどまっており、残りの86・13%は現行の保険証を使用してオンライン資格確認をしている状態だ。
 また、全国保険医団体連合会(保団連)が10月に発表した、全国の医師、歯科医師10万7000人を対象に実施したアンケート調査では、約1万3000件の回答のうち、実に7割からマイナ保険証とオンライン資格確認に関するトラブルが報告されている。

石破首相の態度豹変

    石破茂氏は、自民党総裁選への出馬を表明していた9月8日、健康保険証廃止について「期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然」と記者団に語っていた(『東京新聞』10月7日付)。しかし、マイナ保険証の旗振り役だった河野太郎デジタル相が閣外に去った後も、石破首相は既定路線の修正をしなかった。
 問題だらけのマイナ保険証だが、では今後、健康保険証利用者はどう対応すれば良いのだろうか。
 まずは、健康保険証の発行が停止されても1年間は現行の保険証の使用は可能であり、マイナ保険証を持っていなくても資格確認書が交付される予定である。それを使用すれば今後も受診は可能だ。従って、従来の健康保険証の発行が停止されたからといってあわてる必要は全くない。
 そこで以下、本紙10月3日号6面に掲載された「政府は、なぜマイナ保険証導入にこだわるのか」(館野公一さん執筆)に記された「私たちができること」の5点を以下、あらためて引用してみたい。
 ①マイナンバーカードをあわてて作らない②持っていても保険証利用登録をしない③利用登録をしている場合、10月以降に登録解除が可能になるため早めに解除する④医療機関は従来の保険証で受診する⑤保険証の有効期限が切れたら資格確認書で受診する。
 この対応で十分である。

 

メモ 【マイナンバー法】正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」。2012年、民主党政権下で、マニフェストで番号制度の導入を掲げて法案化し、民主・自民・公明で合意したが、同年の衆院解散で廃案に。第2次安倍政権の13年通常国会で成立した。15年10月に個人番号と法人番号が付番され、16年1月から本格実施となり、カード交付も開始された。