入管法改悪案の絶対阻止を~国会正門前で4000人の怒りが結集
(社会新報5月24日号1面より)
「入管法の改悪に反対する大集会」が12日、国会正門前で行なわれ、約4000人(主催者発表)が参加した。主催は同実行委。野党議員らも駆けつけ、社会民主党からは福島みずほ党首と大椿ゆうこ副党首の両参院議員が参加した。
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集会では、当事者や支援者らが次々に発言。夫がトルコ国籍のクルド人という日本人女性まゆみさんは、「夫は、日本に来て15年、結婚して8年。難民申請は現在4回目で在留資格を得られないまま、ずっと仮放免の延長をしている」。夫は、犯罪歴もないのに結婚3年目で突然、仮放免延長が不許可になったという。まゆみさんは「入管法改悪案のとおりになれば、夫は強制送還の対象になる」と訴えた。「弾圧がある国に夫と帰り、危険な目にあったらどうしますか」と入管職員に聞いたところ、「自己責任ですから」と半笑いで回答されたとして、入管の無責任な対応に怒り、入管法改悪案の廃案を求めた。
保護すべき難民を送還
在日クルド人難民を支援する周香織さんは、「2005年に国連難民高等弁務官事務所が難民だと認めたクルド人親子を、入管は強制送還してしまった。難民申請をしている人たちに問題があるのではなく、保護するべき人を受け入れていない日本の入管制度に問題がある。それから18年が経ったが、その教訓を忘れたかのように、今、難民を無理やり追い出そうとしている。当事者の声も、支援する私たちの声も聞かず、一部の人の意見によって、一方的に命に関わる法律を作ろうとしている。民主主義国家としてやってはいけないことだ」として、入管法改悪反対を訴えた。
気候難民の議論がない
気候変動に取り組む若者たちも参加した。「350New ENEration」代表の山崎鮎美さんは、「今すでに気候変動は加速しているので紛争で発生している難民の数よりも、気候危機によって生まれてしまう気候難民の方が多い。そのため、欧米ではいろいろな困難がありつつも気候難民・移民をどう救うかという議論を始めている。日本ではそうした議論は全く国会でされていない。それどころかこうして今、難民を追い出すような法律が審議されている」と政府の姿勢を批判した。
生活に困窮した外国人を支援する北関東医療相談会の長澤正隆事務局長は、「医療相談会に来た後で亡くなった人が6人もいる。皆、仮放免の人々だった。食べることもできる、病院に行くこともできる人たちは、この人たちの思いを知っているのか? 私は3000人もの人々を抱えてきた。 どれほど悔しかったか。絶対に今回も(入管法改悪案を)廃案に追い込んで新しい入管法を作り、豊かな日本にしていこう」と呼びかけた。
国際水準の野党案こそ成立を
集会には野党の国会議員も大勢参加。福島党首もマイクを握り、「日本の入管制度は、昨年11月に国連の自由権規約委員会から『国際水準にするべき』と勧告を受けている。私は日本弁護士会と共に政府交渉に行き、政府側も勧告について『検討する』と言ったのに、何も検討せず、2年前廃案なったのと同じ法案を出してきた。本来、政府が出すべきは私たち野党が出した難民保護法案と入管法改正案の方ではないか」と問い、国際水準に沿った野党案の実現を訴えた。
主催団体の「反貧困ネットワーク」の瀬戸大作さんは、入管法改悪案の廃案を求める署名が現時点で20万筆を超えたことを報告。今後も署名集めや集会などさまざまな行動を展開していくとアピールした。
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