社民党の大椿ゆう子副党首は６月６日、元大王製紙会長の井川意高氏がX（旧ツイッター）に投稿した内容について、その削除や慰謝料５５０万円の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

　大椿副党首は５月２４日、今国会で審議中の入管難民法等の改正案での永住許可取り消し規定について、「永住権の取り消しは行き過ぎ。税金を払わない日本人と同様の扱いにすれば良いこと」とＸに投稿。これに対し、井川氏は、「まず、おまえの永住権を取り消したいわ　反日　クソクズ　在日が！」などと罵倒する投稿を繰り返した。井川氏はＸで18万６０００のフォロワーを持つネット右翼のインフルエンサーで、井川氏の投稿に便乗し、ヘイト発言や侮辱的発言をするＸ利用者も少なくない。

　これらの井川氏の投稿に対し大椿副党首は、「不当な差別を受けることなく、人間としての尊厳を保ちつつ平穏な生活を送る人格的利益」の侵害や、名誉毀損（きそん）、名誉感情毀損だとして、提訴に至った。　

　６日に参院議員会館で行なわれた会見で大椿副党首は、提訴に至った理由として、「井川氏らの目的は私をさげすむことだが、そのために『お前は在日だろう』とマイノリティーの人たちを利用することが、非常に許せない」と述べた。

また、国会で審議されている入管法改正案が差別をあおっていると大椿副党首は指摘。

　「少なくともこの法案が出るまでは、具体的に永住許可を取り消したいとか、取り消してやるといった言葉は、そこまでＳＮＳ上で出ていなかったのではないかとの印象を持っている。しかし、この法案が出たことによって、『お前の永住許可を取り消したいわ』ということをインフルエンサーが発信をしたことを、 私は非常に重く受け止めた。この法案は差別扇動につながると私は確信を持っていたが、まさにそうなった」

　井川氏のような投稿は、外国人差別だけでなく、女性蔑視に基づく攻撃でもあるが、大椿副党首は、「次の世代、とりわけ女性たちに政治活動を諦めてほしくない。私は、きちんともの言う女性の国会議員でありたい」と述べ、ネット上にあふれる女性蔑視の誹謗（ひぼう）中傷に対し、正面から立ち向かう姿勢を見せた。