社会新報2022年6月8日号3面【主張】より
物価の高騰が激しい。原料高、円安による物価上昇で国民生活が困窮の度を増している。
4月の消費者物価は前年同月比で2・1%上昇した(総務省発表)。その一方で働く人の賃金上昇率は0・62%(5月9日、連合まとめ)にとどまり、物価高に追いついていない。
深刻な国民生活の実態は、数字の上だけでなく、さまざまな報告からも明らかになっている。
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合が5月9日に主催したシンポジウムで、作家の雨宮処凛さんは、「女性の困窮が目立つ。非正規労働者の平均賃金は176万円だが、女性は153万円にすぎない。コロナで打撃を受けた飲食・宿泊で働く6割以上が女性で、そのほとんどが非正規だ」と報告した。
ひとり親世帯も同様に深刻だ。支援団体の全国調査によれば新型コロナウイルスの第6波で感染者が急増した2月、ひとり親世帯の平均月収は13万円余りだった。「食費は子どもと2人で1日300円。人生で今が一番苦しい」という回答もあったという(東京新聞5月6日付)。
中小企業も厳しい環境に置かれている。例えばウクライナ情勢などを受けて建設資材の価格高騰や住宅設備機器などの納期遅延が顕在化している。
城南信用金庫と東京新聞が行なった中小企業へのアンケート調査では「大手だけでなく、中小企業も原材料や部品を入手しやすくして」とか「消費意欲を刺激するため、期間限定の消費税減税はできないものか」といった要望も寄せられている(東京新聞5月20日付)。値上げで顧客が離れる懸念から価格転嫁ができない企業が8割に上ることも明らかになっている。
岸田首相は5月に来日したバイデン米大統領に「防衛費の相当な増額を確保する決意」を約束したが、その財源を問うても逃げの答弁に終始している。
「新しい資本主義」を標ぼうして登場した岸田政権だが、メディアからも「格差是正など資本主義の弊害を乗り越える新たな政策は乏しい」(朝日新聞6月1日付)と評される状況だ。
社民党は最低賃金を全国一律に時給1500円に引き上げるとともに、消費税の3年間ゼロ税率の財源として企業の内部留保484兆円(20年)への課税を参院選に向けた「重点政策2022」で掲げている。
国民生活の防衛に社民党は全力を挙げる。
社会新報ご購読のお申し込みはこちら