社会新報

『愛と連帯 ーー 非正規労働者、国会へ』 地平社から大椿ゆうこ副党首の初著書、党員必携の書

△大椿ゆうこ/著 地平社 1600円+税

 

 タイトルがステキだ。愛は連帯を育む。連帯の根っこには愛がある。ヒューマニズムの最高の表現ではないか。「クビを切られた元非正規労働者」大椿ゆうこが著した本書を貫くのは、政治の無策の下、人間的権利を侵害されて苦しむ、すべての人々に向けられた「愛と連帯」のメッセージであり、権利侵害を増幅させる差別やヘイトへの猛然たる怒りだ。
 このヒューマニズムが結晶する、いわば思想形成過程が第1章「解雇された非正規労働者、国会へ」。4歳上の姉から「フリーターは無職といっしょ」と言われ傷ついた記憶。非正規としての大学勤務から雇い止め、争議へ。労働組合での活動。政党・政治活動への転進と突然の「ミラクル」
 参院議員繰り上げ当選。ある種必然の成り行きとも読める。
 著者はまれにみる対話型アジテーターだ。そのことを強く印象づけた光景がある。5月3日憲法集会前段の国際展示場駅前街頭宣伝を妨害する右翼とのやりとりだ。右翼「ガタガタ言うな!」、大椿「ガタガタ言うのが私の仕事。あなたも労働者でしょ、生活厳しくないの?」、右翼つぶやく「厳しいよ」。
 こうしたアジテーターの資質は、街頭宣伝で浴びせられるハラスメント(相手は圧倒的に男性)と対決してきた「経験値」の積み重ねのなかで磨かれたことが、第2章「女性の声を政治へ」で分かる。
 戦時下の1942年、山口県の長生炭鉱で起きた海底の落盤事故では、朝鮮半島出身者136人を含む183人が犠牲となった。著者は、遺骨収容に向けて現地の取り組みと国会をつなぎながら、政府の関与を迫り続ける。第3章「権利のための闘い」によれば、「長生炭鉱の問題にこだわっているのは、これが労働問題だからだ」。「働く人たちの使い捨てを許さない」姿勢の徹底がすごい。
 著者は故・土井たか子の言葉を思い起こし、「希望を組織する政治家でありたい」と語る。「希望を組織化する」いちばんのテーマは、雇用を原則正規とする「『非正規雇用の入り口規制』の法制度化」だ。
 非正規を当然とする意識が変われば政治が変わり、社会そのものが前へと動く。社会を動かすために、闘う政治家・大椿ゆうこの「差別を許さない、労働者のための1議席」が、これからも国会に必要だ。そう思わせる熱量に満ちた『愛と連帯』は、社民党員に必携の書だ。(河田すみ)

 

『愛と連帯 ーー 非正規労働者、国会へ』

△大椿ゆうこ/著
地平社 1600円+税