社会新報

憲法を守り活かす政治を~福島党首が参院本会議で代表質問~

(社会新報2022年2月2日号2面より)

 

 社民党の福島みずほ党首は1月21日、参院本会議で会派「立憲民主・社民」を代表して岸田文雄首相に対する質問を行なった。

 福島党首は憲法改正問題に関し、「コロナ禍で苦しむ国民は憲法改正など望んでいない。憲法9条を改正することは、戦争のできる国にすることである。戦争をしないようにすることこそ政治の役割だ。広島出身の首相として平和への思いを語ってほしい」と質した。

 これに対して岸田首相は被爆地・広島出身の首相としての思いを語らず、「現行憲法が今の時代にふさわしいものか、与野党の枠を超え、積極的な議論を心から期待する」と改憲に前のめりの姿勢を示した。

 そして党首は自民党が2018年に公表した改憲4項目の中の緊急事態条項に関し、「国会を無視して、内閣のみで、基本的人権を制限できるようにするものだ」と厳しく指摘した。

 これに対して首相は「行政権限の一時的な強化のあり方は重要な論点である」と開き直った。

 さらに福島党首は「いま求められていることは、憲法が規定する生存権、表現の自由、思想・良心の自由、学問の自由、労働基本権、幸福追求権等を保障し、人々の命と暮らしを守ることだ。憲法を守らない政府・与党に憲法改正を言う資格はない」と批判。

貧困の現場に公助を

 また党首は、年末年始に聖イグナチオ教会での大人食堂相談会や大久保公園での「女性による女性のための相談会」など、さまざまな現場に自らが足を運んだことを述べた上で、「仕事がない、お金がない、住まいがない、地面の底が抜けるような人たちにたくさん会ってきた。全国では数万人が支援の現場に足を運んでいる。これは氷山の一角だ。NPOやNGOによる奮闘が続いているが、現場から政府が見えない。公助の出番なのに公助がない」と疑問を呈した。

 これに対して首相は、「官、民、NPOが緊密に連携しながら、貧困や孤独・孤立を抱える方々に支援を届けていく」と答弁。

沖縄復帰50年で追及

 続いて党首は、今年が沖縄復帰50周年に当たることに関し、「沖縄では日本国憲法の上に日米安保条約、日米地位協定があると言われるほど、県民の生存権、平和的生存権、幸福追求権が過重な米軍基地負担によって侵害されている。首相はどう考えるのか」とただした。沖縄の南部戦跡の遺骨の混じった土砂を辺野古新基地建設に使う計画が進んでいることについても、「非人道的だ。南部の土砂を使うべきではない」と怒りを込めて訴えた。さらに、沖縄、山口、広島の米軍基地周辺自治体で新型コロナの感染が急拡大している問題で、「日米地位協定の規定により、米軍関係者が海外から在日米軍基地へ直接入ることが水際対策の大きな穴となって国民の暮らしや命を脅かしている。日米地位協定は明らかに日本の主権を脅かしている。今すぐ改定を要請すべきだ」と主張した。これに対して首相は、「これからも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の基地負担軽減に取り組んでまいりたい」という矛盾した答弁に終始した。

 

↑参院本会議で岸田首相に対する代表質問を行なう福島党首(1月21日)。

 

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