(社会新報2月22日号3面より)
「地震多発国日本」には廃炉決定済も含め60基の原発が存在し、現時点で12基が稼働中だ。
そのリスクは能登半島地震による北陸電力の志賀原発(石川県志賀町)事故であらためて浮き彫りとなった。
志賀原発は今回の地震で外部電源の一部を喪失し、変圧器の配管が損傷し、油が大量に漏れ出た。使用済み燃料プールの冷却ポンプが一時停止した。強い揺れにより、燃料プールから放射能を含んだ水があふれ出た。
北陸電は、再稼働審査に際し、能登半島北部の活断層の長さを96㌔と評価していた。しかし、今回の地震では長さ150㌔にわたって動いたとされる。
能登半島北部の海岸線では最大約4㍍の隆起が発生。志賀原発でも海側の敷地の一部が沈んだ。
北陸電の情報発信は支離滅裂だった。地震発生日の翌1月2日には水位計に有意な変動はないと説明したが、9日に約1~3㍍の津波が複数回、発電所に到達したと発表。2号機の変圧器からの油漏れも当初、約3500リットルと発表していたが、実際にはその5倍強に当たる約1万9800リットルであったことが判明。北陸電による重大な情報隠ぺいは過去にもあった。
1999年、志賀原発1号機の定期検査で、制御棒の試験で操作手順を間違え、3本の制御棒が引き抜かれたため、核分裂反応が起こる「臨界状態」が15分間も続いた。北陸電はこの状態を組織ぐるみでデータを改ざん、隠ぺいした。事実の発覚は8年後の2007年だった。
また、今回の地震では、住民の避難計画の実効性が厳しく問われた。原子力規制委が作成した原子力災害対策指針は原発事故の際、5㌔圏内は「圏外避難」、5~30㌔圏内は「屋内退避」を求めている。しかし、能登半島北部では各地で道路が寸断され、海岸線の隆起により港に船が着けず、「圏外避難」は困難である。放射線量測定のモニタリングポスト116ヵ所のうち18ヵ所が機能不全に陥った。倒壊した木造家屋での「屋内退避」はあまりにも非現実的だ。このように避難計画は机上の空論だった。
社民党の福島党首は1月31日、北陸電本店を訪れ、志賀原発の視察を強く要望している。北陸電は志賀原発2号機の再稼働を目指しているが、活断層の深刻なリスクを抱えた志賀原発の再稼働はありえない。一刻も早く廃炉にすべきだ。