社会新報

九州の軍事拠点化STOP!~社民党国会議員団などが大分・佐賀を視察

日出生台演習場前で「ローカルネット大分・日出生台」の畜産農家・衛藤洋次さんから説明を受ける社民党国会議員団=手前の3人(昨年12月17日、大分県玖珠町)。

日出生台演習場前で衛藤さんから説明を受ける(左から)福島党首、新垣副党首、宗晶子さん(衆院福岡4区予定候補)、大椿副党首、橋村りかさん(衆院熊本3区予定候補)=同上。

 

(社会新報1月11日号3面より)

 

 福島みずほ党首ら社民党国会議員などの視察団が昨年12月16、17の両日、大分県と佐賀県の自衛隊駐屯地などを視察した。九州各地で進む軍事拠点化の問題点を指摘し、「がんこに平和」の社民党を掲げて護憲平和運動の先頭に立つ決意を、あらためて確認した。

 視察団は、党国会議員3人と九州ブロック協議会、基地問題連絡協議会で構成した。視察先は、大分市内の陸上自衛隊大分分屯地(敷戸ミサイル弾薬庫)や大分県玖珠町などにまたがる陸自日出生台演習場、佐賀市の佐賀空港に隣接する工事中の陸自佐賀駐屯地予定地などである。

 初日の16日、大分分屯地を視察した。ここはこれまで弾薬庫として機能し、新たにミサイル弾薬庫としての再整備が予定されている。周辺には住宅街や保育園、小学校が集中し、大分大学や病院も近い。新住民の中には、ミサイル弾薬庫配備計画どころか、大分分屯地が自宅すぐそばに存在していることさえ知らない人も多い。このような状況にもかかわらず、住民説明会がいまだに開かれていない。

 周辺住民で組織する「敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」や「赤とんぼの会」の会員らは「火薬庫を人家から600㍍以上離さなければいけないとの消火マニュアルが守られているか曖昧だ」と懸念を表明し、国会で追及してほしいとの期待が党国会議員団に寄せられた。

大分で候補擁立表明

 なお、16日、大分市内で国会議員3人が記者会見し、大分分屯地のミサイル弾薬庫整備計画や佐賀空港へのオスプレイ配備計画を厳しく批判し、九州各地で進行する軍事拠点化に反対する姿勢を強調した。また、会見では福島党首が次期衆院選に関し、大分県内3選挙区のいずれかの選挙区で公認候補を擁立する考えを表明した。

 翌17日、湯布院駐屯地ゲート前では、沖縄米海兵隊の日出生台移転砲撃演習に反対する市民団体「ローカルネット大分・日出生台」の鯨津憲司さんや浦田龍次さんから、日出生台演習場前では同会の畜産農家・衛藤洋次さんからそれぞれ説明を受けた。

 日出生台演習場では1999年から米海兵隊移転訓練が実施されるようになり、2022年以降、移転訓練と日米共同訓練のいずれも参加隊員の増加、開催頻度の高まり、オスプレイの参加などの規模拡大が顕著になっている。

演習が畜産業に打撃

 日出生台の広大な土地は演習場であると同時に、牛が牧草を食べ、冬場に向けた干草を確保するための土地でもある。

 衛藤さんは「畜産を営んでいた土地に演習場がやってきたため、干草確保の最適期である9、10月の間には演習を行なわないことが慣例となってきた。しかし、23年は10月にも日米共同訓練が実施され、地元の畜産業に打撃を与えている」と語った。

 続いて、佐賀駐屯地予定地に隣接する佐賀空港のデッキから6月に着工した工事現場を視察し、防衛省の担当者から説明を受けた。佐賀空港へのオスプレイ配備、佐賀駐屯地の建設は13年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画に基づき、18年8月に山口祥義佐賀県知事がオスプレイ配備受け入れを表明し、今日に至っている。

 ところが、23年11月29日、米軍横田基地所属のオスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落した事故を受けて、米空軍が同年12月6日に米軍所有のオスプレイ全機を飛行停止にするなど、状況は一変した。そのため、計画自体が壮大な無駄となる可能性がある。

 また、佐賀駐屯地の用地をめぐっては、23年8月に地元の漁師たちが工事の差し止めを求める仮処分を佐賀地裁に申し立てた。視察後の12月20日には訴訟を提起した。

 

佐賀駐屯地予定地視察後、防衛省担当者に質問する党視察団(昨年12月17日、佐賀市)。