社会新報

入管は親と子の送還をやめて! ~「ゼロプラン」は国際人権法違反

緊急院内集会で訴える山田泉・元法政大学教授(左端)ら。(参院議員会館)

大椿副党首が連帯あいさつ。

 入管による子どもと親の送還を今すぐやめさせることを求める緊急院内集会が8月27日、参院議員会館で300人近くの参加で開かれた。反貧困ネットワークが主催した。
 法務省・出入国在留管理庁(入管)は今年5月23日、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表。「ルールを守らない外国人を速やかに退去させる」とした。
 これに対して日本弁護士連合会(日弁連)は7月22日の会長声明で、「外国人の人権を侵害する国際人権法違反」と厳しく批判した。実際、入管当局による外国人強制送還が急増中だ。親子が引き離される事例も相次ぐ。集会に先立って行なわれた省庁交渉では、当事者の高校生・元高校生も質問や意見をぶつけたが、入管やこども家庭庁、文科省の当局者は、「法令に基づき適正に処理」「個別の案件への回答は差し控える」と繰り返すばかり。誠意のかけらもない対応に怒りが収まらぬまま集会は始まった。

彼らが何をしたというのか

 司会は反貧困ネット事務局長の瀬戸大作さん。初めに「仮放免高校生奨学金プロジェクト」の加藤美和さんが集会の趣旨を説明。「ゼロプランが出て、7月から8月にかけ、在日外国人が家族で強制送還されるケースが次々と起こってきた。日本で生まれた小学1年の子どもも送還された。送還の恐れがある高校生も多い。日常生活が突然奪われてしまう。どうしたらいいのかと、この場を設けた」と事態の緊急性を訴えた。
 前段の省庁交渉について、「当事者である仮放免の高校生たちが、リスクもある中、勇気を振りしぼって意見を述べたのが、印象的で素晴らしい」と語ったのは「移住者と連帯するネットワーク」の高谷幸さん。「在日クルド人と共に」の三浦尚子さんは、7月以降、分かっているだけで3組14人のクルド人家族、単身を含めると30人近くが送還されたと報告。「国民の安心・安全のため」とうたうが、「これまで隣人として穏やかに暮らしていた彼らが何をしたというのか」と語気を強めた。
 元法政大学教授の山田泉さんは、子どもの権利や教育学の見地から、強制送還は人格・人権無視と断じた。

当事者の高校生が勇気ある訴え

 続いて、当事者の高校生たちが訴えた。
 「親が仮放免で働くことができず、家計が苦しいことから部活動や進路選択が制約される。在留資格がないからと受験自体が拒否されることもある。できないこと、あきらめなければならないことが詰み重なっていく」
 「学校を卒業したら国家試験を受けなければならないが、在留資格がないと受験もできない」
 「いつ追い出されるのか不安で勉強に集中できない」
 「入管の制度のために親と引き離される苦しみを味わってきた。子どもが安心して未来を描くことができる、人として当たり前の権利を認めてほしい」
 「親が入管に出頭するとき、帰ってくることができるのか、いつも心配。とても心が重い」
 この悩みや不安、痛みを押しつけている責任は日本社会にある。ゼロプランを許してしまっている私たちの側にある。
 ラサール石井議員事務所の尽力で実現した省庁交渉を含め、出席した国会議員は福島党首をはじめ9人。集会では大椿ゆうこ副党首も発言した。大椿副党首は、当事者の訴えに感謝の言葉を伝えた上で、「入管当局者は『不法滞在者がいるだけで、国民は不安ではないか』としか言えない。何の根拠もない理由づけによって、子どもが親から引き離され、やりたいことを我慢する状況に追い込まれている。そんな人権侵害を止めさせるために、これからもこの問題に全力で取り組む」と力を込めた。
 集会に引き続き、参加者は参院議員会館前で抗議の声を上げた。