
参加者全員が脱原発のプラカードを掲げた。(9月23日、代々木公園)

呼びかけ人の落合恵子さん(左)と鎌田慧さん。
東日本大震災と東京電力福島第1原発の過酷事故から14年半となる9月23日、「さようなら原発全国集会」が東京・代々木公園で開催され、約4500人(主催者発表)が参加した。「ともに声をあげよう!脱原発と気候正義のために」をタイトルに掲げた。主催は「さようなら原発」一千万人署名市民の会。
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福島原発過酷事故からまだ14年半しか経っていない。今なお、原発事故の「緊急事態宣言」が解除されていないのに、「原発回帰」の政策が急ピッチで進む。事故の教訓は一体どこへ行ってしまったのか。
岸田政権は2023年5月にGX推進法とGX脱炭素電源法を制定し、脱炭素などを理由に「原発の最大限活用」に転換した。石破政権は25年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定し、「原発の依存度を限りなく低減する」との文言を削除し、「次世代革新炉の開発・設置」を推進する。同基本計画を受けて関西電力が7月、福井・美浜原発敷地内での新規建設のため地質調査を始めることを公表した。福島では約2万4000人以上が故郷に戻れずにいる。この現実を見たとき、原発の再稼働、新規・増設建設、ましてや外国への輸出などあり得ない。
原発輸出に前のめり
集会の冒頭、集会呼びかけ人として、ルポライターの鎌田慧さんや作家の落合恵子さんが登壇した。落合さんは、脱原発の運動について「命と尊厳をしっかりとこの手に握りしめ、今から、私から、あなたから、ここから始めよう。それを皆で約束しよう」と呼びかけた。同じく呼びかけ人の鎌田さんは岸田文雄前首相の最近の動向について「石破茂首相の特使としてインドネシアやマレーシアに日本の原発を売りに行っている。なんの反省もない」と怒りを込めた。
次に、再生エネルギー100%と公正な社会を目指す若者らの団体「ワタシのミライ」の川﨑彩子さんが「気候危機、弱い者いじめをする世界、差別を基につくられた不公正な仕組みを変えなければならない」とアピールした。
「4つの犠牲」の上に
続いて、福島県出身で哲学者の高橋哲哉・東京大学名誉教授は「異常気候は地球温暖化などという生易しいものではなく、『地球沸騰化』だ。人新世(じんしんせい)とは、人間の活動が地球環境を変化させる、人災の時代だ。市場経済の成長の限界は明らかだ」と語った。高橋さんは原発が4つの犠牲の上に成り立っていると指摘した。その4つとは、①過酷事故による精神的肉体的な犠牲②原発労働者の被ばくの犠牲③ウラン鉱山採掘などで環境を破壊された先住民の犠牲=ニュークリア・レイシズム(核の人種差別)④処分できない核のゴミによる犠牲。その上で、「脱原発と、気候沸騰化を食い止めるために力を合わせよう」と訴えた。
パネルトークでは、呼びかけ人の藤本康成さんが「地球を壊さないでと訴える若い世代の声に政治はきちんと耳を傾けて」と語った。パネリスト4人の足立あゆみさん(No Youth No Japan)、飯泉厚彦さん(原木しいたけ生産者)、加藤美和さん(反貧困ネットワーク)、門脇颯生さん(Fridays For Future Tokyo)がそれぞれの立場から、脱原発と差別のない公正な社会への希望を熱く語った。
原発ゼロ実現した台湾から報告
続いて、台湾の緑色公民行動連盟のツィ・スーシン共同代表が、原発6基の稼働をゼロにした台湾の闘いを振り返った。今も原発推進勢力による巻き返しが続いているという。福島原発告訴団の中路良一さんの闘いの報告と告訴団の踊り、柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会、大阪・反原発新聞編集長の末田一秀さんから報告があった。最後に、おしどりマコケンの締めくくりライブ。マコさんは東電の会見に合計1500回出席しているが、東電の情報隠ぺい体質が露骨になっていると批判した。集会後、参加者は渋谷駅方面と原宿駅方面の2コースに分かれてパレードした。

パレードで脱原発を訴えた。(渋谷区内)