(社会新報6月6日号)
通常国会は最大のヤマ場を迎えている。日本政治が自民党・大企業を中心としたカネまみれの金権腐敗政治から決別できるかが問われる政治資金規正法改正案が5月22日、衆院政治改革特別委員会で審議入りした。
今回の規正法改正の発端となった自民党は、17日に改正案を単独で衆院へ提出した。その後、立憲民主党と国民民主党らが改正案を共同提出し、日本維新の会も提出した。自民党案が果たして「政治とカネ」問題の解決につながる実効性ある法案となっているのか、主なポイントを取り上げる。
まず、企業・団体献金には手を付けず、政治資金パーティーは、パーティー券購入者名の公開基準額を10万円へ引き下げるだけで継続する。この時点で大企業支配の日本政治からの決別ができていない。さらに、政策活動費は党から議員個人へ1件50万円以上の支出を受けた場合、使途を項目別で公開する。しかし、議員の支出先は公開せず、領収書の添付は不要とする。罰則については、議員へ政治資金収支報告書の「確認書」交付を義務付け、不記載があり確認不十分の場合、公民権停止につながる罰金刑を科す内容である。
金権腐敗政治を本気で終わらせる気力が全く見えない。公明党も内容をめぐり共同提出を見送ったほどだ。
立民ら野党側は、自民党案以上に厳しい内容を突きつけた。立民と国民らが共同提出した改正案では、政策活動費の政党から議員個人への渡し切りを禁止する。また「連座制」を導入し、政治団体間の移動資金の公開基準を厳格化するなど、処罰の強化や政治資金の透明性を高める内容である。さらに立民は、単独で「政治資金パーティー禁止法案」と「企業団体献金禁止法案」を提出している。
そして、28日から自民党案に対する与野党の修正協議が始まった。立民、国民、共産党、維新ら野党側は共同で「企業・団体献金禁止」「政策活動費の廃止か領収書公開」「議員が会計責任者と同じ責任を負う」の3点を要求した。自民党は現時点では修正に後ろ向きだが、裏金問題への有権者からの厳しい審判が続いている状況下で、果たして甘い自民党案で貫き通せるだろうか。
繰り返される「政治とカネ」の問題と、自民党と大企業支配の日本政治を終わらせるために、野党側は妥協なき政治改革を自民党へ迫る時である。