
田村委員長(左)と福島党首がしっかりと握手。

たむら・ともこ 1965年、長野県生まれ。早稲田大学第一文学部に入学、学費値上げ問題で論陣を張り、青年運動の先頭に立つ。共産党国会議員団事務局に勤務、国会議員秘書として活動。2010年、参院議員初当選し、連続3回当選。16年、党副委員長。20年、党政策委員長。24年、党幹部会委員長。同年、衆院議員(東京比例)初当選。
社民党の福島みずほ党首は、日本共産党の田村智子委員長と対談した。二人は高市早苗政権を「戦後自民党政権で最も危険」と位置付け、戦争国家化・新自由主義の暴走を徹底批判し、護憲政党として連帯をさらに強めていくことを誓い合った。対談全文は『月刊社会民主』1月号に掲載。
福島党首が「高市政権が横暴の限りを尽くして、日本国憲法を無視してやりたい放題だが、田村委員長はどう見ているか」と話題をふると、田村委員長は「戦後の自民党政権の中でもかつてない危険性を持っていると思う」と危機感を募らせながらも「同時にもろくて弱いということも見えてきた」とも語る。
「存立危機事態」首相発言は撤回するしかない
「象徴的なのは『台湾有事』発言。自衛隊がいわば中国との戦争に突入しうるんだということを言ってしまったわけで、これは極めて危険です。大変な事態を日中関係でも引き起こして、高市政権は自らの外交失態を解決するすべもない状態で、まともな外交ができない政権という姿をさらけ出している」(田村委員長)。
福島党首は「高市首相は『中国の戦艦が海上封鎖をしたらどう考えても存立危機事態になり得る』と答弁した。集団的自衛権の行使は明確に憲法違反だが、高市首相の発言は、2015年に当時の安倍首相が定義した、存立危機事態をも踏み越えている。台湾有事は存立危機事態に当たらない」と指摘した。
田村委員長も「当たらない。日中関係が悪くなったことで大問題にされているが、本当は日本国民にとっての大問題」「歴代の政権でも総理大臣として言えないことがあったが、その一線がまさに溶けて流れてしまったのが高市政権の危険性」と大きくうなずいた。
福島党首も「2024年1月に社民党として訪中し、盧溝橋の記念館で『日中不再戦の誓い』のスピーチをしたが、これらが高市発言によって覆されてしまった」と語りつつ、「日中の経済ということでも大変だが、田村委員長がおっしゃったように、高市首相の発言は国会を踏みにじっている」として、問題はむしろ、民主主義に反した高市首相の暴走にあるとの理解を共有。発言を撤回させなくてはいけないということで二人の意見が一致した。
大軍拡予算 GDP比3・5%だと21兆円に
田村委員長は、高市政権の予算面の問題も指摘。「3年連続で防衛費だけが異常に増えていて、GDP2%を前倒しにすれば11 兆円。トランプ政権の言う3・5%にすれば21兆円。60兆円の税収で20兆円だから、とんでもないことになる。医療・介護・生活保護の国の予算を全部足しても18兆円。それら全部を飲み込んでも21兆円にはまだ足りない」として、高市政権がいかに危険かということを、暮らしとの関係でリアルに訴えていくべきだと語った。福島党首も「日本維新の会が医療費4兆円削減することを主張している。これも個人の負担は増える。OTC類似薬を健康保険から除外するとしているから、結局、国民の生活を壊すことになる」と批判した。
福島党首は、「高市首相の『働いて、働いて、働いて…』という言葉が流行語大賞になった。実質賃金は下がり、労働分配率も下がっているのに、高市首相は労働時間の規制緩和を厚労大臣に指示した」として、高市政権の新自由主義的な姿勢を懸念。田村委員長も「社会全体が自分の生活時間とか自由な時間を大切にしていこうと、それが豊かな生活だという認識になり始めている時に、給料が安いなら、もっと働けと高市政権は言っている。労働基準法から労働時間の規制も取り除けばいいではないかという議論でも出てきていて、本当に危ない状況だ」として、労働基準法そのものが危うくなっていることに警鐘を鳴らした。
旧姓の通称使用法制化は選択的夫婦別姓つぶしだ
日本初の女性首相として高市首相が持ち上げられることについても、福島党首と田村委員長は違和感を語る。福島党首は「私は高市首相が女性か男性かというよりも、高市内閣そのものが軍拡や新自由主義と、人権に背を向けていることが問題だから、男か女かというのは、あまり意味がない」としつつ、「旧姓の通称使用の法制化でいいじゃないかとする人だから残念だ」として、首相が選択的夫婦別姓をつぶすために通称使用の法制化を持ち出したと批判した。
田村委員長も「通称使用ではダメ」と同調し、国会内の女性記者とのエピソードを語った。「高市さんが女性初の首相になることが見えてきたとき、女性記者がやるせない顔で話しかけてきて、『この現実をどう受け止めたらいいのか』と聞いてきた。初の女性の総理大臣がこういう立場の人なの? という思いは、少なくない女性たちの中にあった」。
その女性記者に田村委員長が「結局、自民党がそういう政党だということ」「ジェンダー平等を進めますという女性だったら総裁にはなれない。それに背を向けた女性だから総裁になれた。これが自民党の限界だし、自民党政治を終わらせないと、ジェンダー平等を前に進めることはできないと明らかになったのでは」と言うと、女性記者は「なるほど」と合点がいった様子だったという。
やっぱり自民党政治を終わらせないとダメ
田村委員長の言葉に福島党首も大きくうなずき、「やっぱり自民党政治を終わらせないと。元々少しリベラルだった人も自民党政治に入ると動けなくなる。政権の座から引きずり下ろすしかない」と意気込んだ。田村委員長も、「高市政権は、パターナリズム(家父長主義)だし、戦争準備を進める。だけど国民との意識の差は、どんどん広がらざるを得なくなる。その土台はやっぱりもろい。支持率が高いと言われているが、きちんと対話を重ねて、この政権がやろうとしていることを知らせていけば、必ず倒せるし、倒さなければいけない政権だ」と鼓舞した。
福島党首が、高市政権下での、その失敗がもう明らかであるアベノミクスの二番煎じのような経済政策、排外主義や原発推進等について「なぜ破滅への道に向かっていくのか」「戦争と排外主義は手を携えてやってくる」と現状の深刻さを見据えた上で、「今が頑張り時」と気を張ると、田村委員長も、「今回の対談は、憲法と平和を真ん中に据えた共同をパワーアップして、国民の中に示していこうということで、本当に大切な一歩だと実感している」と述べ、福島党首と笑顔で握手を交わした。(1月1日号より)