
白色のチマ・チョゴリを着た女性3人が追悼碑の前で、水を供え、伝統的なおじぎ「クンジョル」をした。(9月1日、東京・横網町公園)

午後からの追悼会で黙とうを捧げる参加者たち。
(9月18日号より)
関東大震災から102年となる9月1日、大地震発生後に数千人の朝鮮人などが虐殺されたことを追悼する2つの式典が、都立横網町公園(墨田区)の朝鮮人犠牲者追悼碑前で行なわれた。
午前に行なわれた式典は、日朝協会東京都連合会などで構成する実行委員会が主催。午後の式典は、在日本朝鮮人総聯合会東京都本部と東京朝鮮人強制連行真相調査団が主催した。
流言と朝鮮人虐殺
1923年9月1日に発生した大地震の後、警察官なども関与して「朝鮮人が殺人や放火を行なっている」「井戸に毒を投げ入れた」などの流言が人々の間に広まった。
その結果、数千人の朝鮮人や数百人の中国人、そして社会主義者・無政府主義者らが、自警団だけでなく軍や警察などによって殺害された。
こうした暴虐については、各種史料や歴史研究によってかなり明らかにされている。内閣府中央防災会議の調査報告書(2008年)は、朝鮮人などが虐殺された事実を認め、「震災による死者数の1~数パーセント」と推計した。震災全体の死者・行方不明者数が約10万5000人なので、虐殺犠牲者数は「1000人から数千人」ということになる。
同追悼碑前での式典は1974年から毎年行なわれ、歴代の東京都知事は式典に追悼文を送ってきた。
だが、現在の小池百合子知事は就任翌年の2017年から追悼文の送付を拒んでいる。関係団体は今年も式典への参加や追悼文の送付を求めたが、小池知事は「(同日の)関東大震災の大法要で全ての犠牲者に哀悼の意を表している」として要請を拒否した。
小池知事は以前、同震災時の朝鮮人虐殺について、「さまざまな見方がある」「歴史家がひも解くもの」などと発言していた。
不誠実な小池都知事
猛暑の中、午前の式典には約500人が参列した。
日朝協会東京都連合会会長で式典実行委員長の宮川泰彦さんは、小池知事の不誠実な姿勢に対し、「自然災害で亡くなった人と虐殺された人への弔い方は違うはずだ」と批判した。
その上で、「なぜこうした非人道的な行為(虐殺)が横行したかを振り返ることが、今を生きる私たちの責務ではないか」と指摘。
この後、各界から追悼の辞が述べられ、追悼メッセージが読み上げられた。
犠牲者を悼む読経や朝鮮半島の伝統的な祈りのクンジョルも行なわれた。
閉会の辞で、日本中国友好協会東京都連合会の塩澤俊之さんは、今夏の参院選で排外主義を訴える政党が急伸したことを取り上げ、「差別や排外主義に立ち向かうためにも、私たちは関東大震災後の虐殺の歴史を語り継いでいこうではないか」と訴えた。
最後に、参列者らは追悼碑に献花した。
排外主義の今と昔
午後の式典には、約250人が参列した。
主催者団体として、朝鮮総聯東京都本部常任委員会の高徳羽委員長と東京朝鮮人強制連行真相調査団・日本側代表の西澤清さんが追悼辞を述べた。
西澤さんは、小池知事の不誠実な言動を取り上げ、「国際感覚と人権意識が疑われる」と批判し、「こうした姿勢がヘイトスピーチや『日本人ファースト』を政策とする政党の出現を引き起こす一因になっている」と指摘した。
朝鮮人強制連行被害者・遺家族協会による「日本当局は、いまだに関東大震災朝鮮人虐殺蛮行の真相を究明して反省し、謝罪と賠償をするのではなく、その歴史的事実を隠ぺいし、わい曲している」とする追悼文が読み上げられた。
この他、数人の来賓あいさつもあり、最後に参列者らが追悼碑に献花した。社民党のラサール石井参院議員も、両式典に参列した。

追悼碑に向けて手を合わせる参加者たち。前列右がラサール石井参院議員

横網町公園内の追悼碑。