社会新報

伊藤詩織さん 逆転勝訴 自民・杉田水脈氏へ賠償命令 中傷ツイートに「いいね」連発

会見する伊藤詩織さん(10月20日)

 

(社会新報11月2日号2面)

 

 自身を誹謗(ひぼう)中傷する内容のツイート(ツイッターの投稿)に「いいね」を押され、名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが自民党の杉田水脈衆院議員を相手取り計220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(石井浩裁判長)は10月20日、賠償請求を棄却した東京地裁判決(今年3月)を取り消し、杉田議員に55万円の賠償を命じる逆転判決を言い渡した。

 杉田衆院議員は2018年6、7月、ツイッター上にあった「レイプの事実関係が怪しすぎる」「ハニートラップを仕掛けた」など伊藤さんを中傷する25のツイートに「いいね」を押した。杉田氏側は「いいね」を押した理由について、「後から読み返すためにブックマークしたもの」などと反論し、請求棄却を求めていた。今年3月の1審・東京地裁判決は「いいね」が示す肯定的な感情の範囲は幅広いことなどを理由に、杉田衆院議員への賠償請求を認めなかった。
 しかし、今回の東京高裁判決は、「いいね」の行為が多数回に及び、杉田氏が自身のブログやツイッターで伊藤さんに対する批判や揶揄(やゆ)を繰り返していた経緯を踏まえ「社会通念上、許される限度を超える侮辱行為」と判断した。
 判決のあった20日、都内で記者会見した伊藤さんは「『いいね』は指先一つでできてしまう。そのアクションだけで誰かを誹謗中傷する言葉が拡散されてしまう。『いいね』の意図が何だったのか、今回の判決は杉田氏の『いいね』が感情を害する意図をもって行なわれたものと認められた。とても画期的な判決だと思う」と述べた。
 また、伊藤さんは「表現の自由」との関係からも指摘した。「裁判を通じて、『表現の自由』という言葉が何度も聞こえてきた。ただ『表現の自由』という言葉の裏で許されてしまう『言葉の暴力』がとても危うい。『いいね』の表現がどういった意図で行なわれたのか、一度立ち止まって考えるきっかけとなる判決だったと思う」。
 代理人の佃克彦弁護士はフォロワーが11万人もいる現職国会議員としての杉田氏の責任の重さをきちんと認定・判断したものと高く評価した。