社会新報

「米国を出し抜く独自外交を」 ~作家の島田雅彦さんが立憲フォーラムなどの集会で「戦略的対米従属」論を語る

島田雅彦さん(10月19日)

 

(社会新報11月2日号3面)

 

 10月19日、衆院第二議員会館で「『戦略的対米従属』は可能か」のタイトルで作家の島田雅彦さんが講演した。主催は立憲フォーラムと戦争をさせない1000人委員会。
 島田さんは、小説『パンとサーカス』を今年3月に講談社から出版した。不正隠ぺいの犠牲となった父親の復讐を果たすためCIA(米中央情報局)のエージェントとなった主人公が、日米両政府を欺き、日本国民のかたきをとるーーというストーリーだ。
 島田さんはこの小説と安倍元首相暗殺事件を重ね合わせて話を始め、「結果的に不幸なことながら暗殺が奇跡的に成功してしまったことにより、今まで隠ぺいされてきた不都合な真実が次々と露呈してしまい、自民党の屋台骨も揺らいでいるようだ」と述べた。
 講演のタイトルである「戦略的対米従属」に関連して、CIAについて次のように語った。
 「南米などで民主的で反米的な政権が樹立されようとする時、CIAが介入し、その動きをつぶすということが何度もあった」「マフィア的な組織と手を組んでCIAの思い通りに動く、かいらい政権を立ち上げてきた」
 その上で日本の歴史を振り返り、「今まさに、岸信介という名前が墓場から復活して連呼されている。統一教会とCIAとの癒着で私腹を肥やした人物として注目が集まっている」と語り、「自民党が長きにわたり権力の座にとどまってきたのは、米国の体制作りが最も効果的に成功したからだ。米国の軍産複合体への奉仕、外交経済政策における対米従属の姿勢が変わらないというあきらめを社会に植え付けてしまった」と指摘。そして「軍備拡張が米国の軍産複合体の都合によって推進されようとしている。非常に危険だ」と警鐘を鳴らした。
 島田さんは、これにあらがい、「時に米国を出し抜くような暮らしぶりを提起し、米国を出し抜くような独自の外交防衛戦略を実行する。それをやって初めて対等なパートナーシップが得られる」と強調した。