社会新報

【主張】第211通常国会が閉会~当事者不在の国会運営は許されない

(社会新報7月5日号3面より)

 

 6月21日、第211通常国会が閉会した。150日間の会期を延長することなく政府提出法案60本のうち58本が成立した。国の基本政策を転換させる重大法案が、多くの疑念や懸念を残したまま成立させられた。まず、昨年末の安保3文書の決定を受けた防衛費大幅増の予算だ。6兆7880億円、前年比26・4%増のかつてない大幅増額がすんなり決まった。さらに2023年から5年間で総額43兆円の防衛予算を確保するための「防衛財源確保法」、軍需企業の生産ラインの国有化や装備品の開発・生産の基盤強化を国が支援する「防衛産業強化法」なども成立した。
 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有をなし崩しに進め、世界第3位の軍事費大国となりながら「平和国家」を自称することはむなしい。社民党は、軍事に頼らず外交努力に注力し、増額する防衛費は国民生活の安定に回すべきだと主張したが、受け容れられなかった。
 原発の60年超の運転を可能にする「GX脱炭素電源法」も強行され、福島原発事故以来の「原子力への依存度を低減」するとした政策も破り捨てられた。
 難民申請中の強制送還停止を原則2回に制限する入管難民法の改正も強行された。「LGBT理解増進法」は最終段階での修正で「多数者に配慮」する条項が設けられ、むしろ理解を進める取り組みが妨げられるとの懸念が広がった。当事者不在、人権軽視の政府・与党の姿勢は許せない。
 岸田首相は「こども・子育て予算倍増」を打ち上げ、少子化対策に3年間に年3兆円台半ばを投入すると表明したが、財源の議論は先送りされた。防衛費の財源確保は強引に法制化したことと比べて、そもそも本気度が疑わしい。マイナンバーをめぐるトラブルが続出し、制度への不信や不安の声が高まるなか、健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化する改正マイナンバー法も成立した。
 国会最終盤では、衆院解散が取り沙汰される中で、重大法案が次々と成立した。当事者・国民不在の乱暴な法案審議が目立ったのは残念だ。内閣不信任案も提出されたが、野党の一部が反対し、やすやすと否決された。野党が内閣不信任案に反対するというのは、従来の国会の常識ではあり得ないことだ。こうした「野党」の崩壊が、与党ペースの乱暴な国会運営を許す背景となっている。健全な野党連携の回復が急務である。