社会新報

【主張】大椿ゆうこ参院議員の誕生~非正規労働者問題の改善に全力

(社会新報4月19日号3面より)

 1面の報道のとおり大椿ゆうこ副党首の参院議員繰り上げ当選が正式に決まった。解雇された非正規労働者が国会議員となるのは初めてのことで、社民党にとっても、日本の現在の政治情勢のもとでも意味は極めて大きい。
 党は昨年の参院選で政党要件となる比例区選挙で2%余りの得票率を獲得し、かろうじて踏みとどまることができた。だが、国会議員は福島みずほ参院議員(党首)と新垣邦男衆院議員(副党首)の衆参それぞれ1人ずつと変わらず、メディアへの露出も限られた状態が続いている。
 しかし、発信力に定評のある大椿参院議員の誕生により、これまでより幅広い分野で党の主張や政策を訴える条件が拡大した。
 周知のとおり大椿さんは、有期雇用を理由に関西学院大学から雇い止めにあっている。労働委員会に救済申し立てをしたが、全面棄却となり、職場復帰はかなわなかった。
 だが、大椿さんはあきらめた方が良かったとは考えなかった。その後の同様の事案で雇い止めを阻止し、「次の人は勝ち続けている」という経験をしているためだ。
 それをふまえて、「変わるのは私たち」「変えるのも私たち」と、働く者がともに闘うことを呼びかけてきたことに共感が広がっている。
 大椿さんへの期待は、働く者を取り巻く環境が厳しさを増し、労働組合、労働運動への期待が高まる情勢にあることも大きい。
 23春闘では大手を中心に満額回答もあったが、中小民間も含め大幅賃上げが実現したとは言い難い。大幅な物価上昇に働く者の家計は圧迫される一方で、最低賃金はほんのわずかしか上がっていない。全国一律時給1500円以上への早急な実現が期待されている。
 さらに非正規労働者の拡大は続いている。特に「身分は安定している」といわれていた地方公務員職場に、20年4月から「会計年度任用職員」と呼ばれる非正規の地方公務員制度が導入され、非正規労働者が職場の4割ほどを占めるようになっている。「官製ワーキングプア」と呼ばれる彼らに大量の雇い止めが発生している。
 大椿さんは「私はお任せ政治を託されるのはごめんです。私はみんなと一緒に社会を変えていきたいんです」と呼びかける。大椿さんの呼びかけに応え、共に社会を変えよう。

 

社会新報ご購読のお申し込みはこちら